黒木 亮 


1957年北海道生まれ。
カイロ・アメリカン大学修士(中東研究科)。
都市銀行、証券会社、総合商社に23年余り勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、
航空機ファイナンス、貿易金融など数多くの案件を手がけ
る。
2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた「トップ・レフト」
でデビュー。
他に「巨大投資銀行」「アジアの隼」「青い展気楼〜小説エンロン」
「カラ売り屋」「貸し込み」などがある。英国在住。


赤い三日月
上・下



黒木 亮


毎日新聞社





2012/2/26

2011/9/10 発行
 1980年代半ばまで自力で資金調達ができず、年率50100%のインフレに喘いでいたトルコは、「欧州の重病人」だった。当時、トルコで対外債務の借入れや管理をしていたのは財務貿易庁(通称・トレジャリー)という役所で、先方の担当者は、近代トルコ建国の父、ケマル・アタチュルクの右腕だったサドリ・マクスーディー・アーサルという法律家の孫の40代半ばの女性官僚だった。祖母からタタールの血を引いていて、瞳の色が冬の朝のボスポラス海峡を思わせる灰色だった。
19941月にムーディーズがトルコを投機的等級に格下げして資金調達源が干上がり、国がデフォルトの危機に瀕したときは懸命の努力で、翌年4月にシ・ローンとFRN(変動利付債)の組合せで5億ドルの調達に成功して民間融資の流れを再開し、祖国をデフォルトの危機から救った。
 わたしは彼女のことが忘れられず、今般上梓した『赤い三日月〜小説ソブリン債務』(毎日新聞社刊)の中で描いた。ーーーーーと黒木氏が言っている。

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 日本からはあまりなじみのないトルコの風景や習慣、歴史などが織り込まれ、東西銀行の国際部で働く但馬、(これは黒木氏自身を反映しているのだろう)の仕事ぶりは、見ていてもすごい。但馬の書いた書類とか契約の内容とか、読み飛ばしてしまったが、いつも稟議書や本社への反論や政治的レポートをまとめていれば、文章を書くのも慣れたものだろう。小説とは違うかもしれないが。

 世界銀行(World Bank)ーーー 第二次世界人戦直後に締結されたブレトンウッズ協定によって、1945年にIMFと前後して創設された国連の金融機関。
 世界銀行からは日本も融資を受けてきた。但馬のこんなセリフがある「世銀からは、新幹線以外にも、黒部第四ダムの建設や東名。名神高速道路、八幡製鉄や川崎製鉄の製鉄所建設などに総額で八億六千二百九十万ドルの融資を受けています。最後の融資は一九六六年の道路公団による東京・静岡間高速道路建設のためのもので、日本が世銀の借入れを完済したのは、おととし(一九九〇年)の七月です」
知らなかった!


リスクは金なり

黒木 亮
講談社文庫


2011/7/15 発行


獅子のごとく

小説 投資銀行日本人パートナー

黒木 亮

講談社



2011/2/15

2010/11/26 発行
主人公は、日本の東立銀行から米大手の投資銀行に転身した、逢坂丹(あかし).
 「敵をオーバーウェルム(圧倒し蹴散らす)するんだ」を口癖に、取引先から果敢に契約を取り、同僚や上司を蹴落とし、自分になびかない官僚を左遷へとおいやる.日本支店のトップに立った逢坂は、父の会社を破綻へと追い込んだ東立銀時代の先輩、桧垣との対決に挑んでいく.
 逢坂には、モデルになった財界人がいるそうだ.「非常にインパクトの強い人物像を描くことで、成功を手にした人が謙虚さを失っていく様を描きたかった」と著者の言葉.
 敵役の桧垣は、著者の銀行時代の傲岸不遜だった上司を参考に作り上げたらしい.
 
 二人とも、感じのいい人物ではない、悪役だから、読んでいて、不快な感じもある.
 部下たちの前では気さくな兄貴分、客に対しては徹底した太鼓持ち、ライバル金融機関に対しては獰猛な獅子、社内の権力闘争では狡猾なハイエナと、いくつもの顔を使いこなせるのが逢坂という人間.商売を取るためには、グレーゾーンやブラックゾーンに躊躇することなく突っ込んでいく性格で、顧客に対しては、『飲ませ、抱かせ』の接待をやる.モデルだった人はどこまで凄かったのだろう.

 70年代から始まり、バブル経済やリーマンショックなどの現実の出来事や人物を織り交ぜ、実名で堀江貴文や村上世彰も出てきたりするので、興味が深まる.小説だから、作った部分があるのだけど、仮名になっているが片山さつきらしい人や野中元キャスターらしい人もいて、どこまでが事実だろうと考えて気になるものだ.
 
 トリプルAを読んでいたのと重なる時代と経済状況のような気がする.
 それにしても、契約を取るためなら何でもする、ゴルフ場をポンと指す出したり、ベンツをさっと進呈したり、便宜を図ってもらうためとはいえ、汚いことを平気でする人って、ほんとにいるんだろうなあ.そんな人にかかったら、凡人はあっさり引っかかってしまう.こわいこわい.


トリプルA  上・下
小説 格付会社


黒木 亮

日経BP社



2011/1/10

2010/5/31 発行
(初出)「東京スポーツ」
1984年から2008年、リーマンショックまでの金融界の動きを、そこで働く者たちの人生を描きながら示してみせる。
 乾・・・・銀行から日系格付け会社、外資系格付け会社、と転職。
 水野・・・・マーシャルズからS$Dに引き抜かれ、いずれも外資系格付け会社。
 沢野・・・・生保の格付け担当として走り回ったあと家業を継ぐ

 格付け業界の盟主マーシャルズ・インベスターズサービスはトップが代わると格付けの姿勢も変わる。簗瀬は厳しい格付け、三条は顧客第一で甘い格付けだったりする。
 この間にイトマン事件があり、山一證券の飛ばしから自主廃業、日産生命破綻、北海道拓殖銀、日債銀などについても触れ『金融機関の生殺与奪の権を握るのは格付け会社』とまでいわれる。

 ただ、エンロンが破産宣告する4日前までグッドリスクとしていたなど、どこまで真に受けたらいいのか。

 『馬鹿な格付け会社が、最先端の金融技術で複雑化されたストラクチャーの中に隠されているリスクを見抜けなかったり、商売欲しさに高い格付けを付けたりすると、最後に困るのは債権を買った投資家だ。・・・(略)・・・最近、儲けるためにアレンジャー(投資銀行など)のごまかしを見てみぬふりをしている格付け会社が多い』と、登場人物に批判させている。

 最近、また日本国債がランクを下げられた。2003年にシングルAに下げられたあと、回復していたが、金融危機のスペインより下になってしまったようだ。
 
 格付け会社について詳しく知ることができ、本書を読んだ後は、ニュースも少し理解できるようになった。
 格付け会社ってこうなってたんだ、あまり気にし過ぎなくてもいいのじゃないか、マスコミで騒ぎすぎじゃない?って思ってしまった。


排出権商人

黒木 亮
講談社

2010/1/14
2009/11/12 発行
「週刊金融財政事情」で連載
いやあ、読むのが大変だった。排出権取引がどういうものかという説明や、そもそも遡って京都議定書かららしいので、説明だけで少し疲れた。が、おかげでよくわかるようになった。

日本は6%削減が義務付けられているのに、守れないと困るので、世界中を回り、技術が遅れていてCO2を垂れ流しているところへ行き、それをエネルギーに換えるプロジェクトを提案し、国連が認めたら排出権が発生するので、それを日本が買う・・・・という流れのようだ。

排出権のような実体の無いものを世界中から買い付けて、それが意味のないものになったらどうなるのだろう。
だけど、すでにビジネスとして大きくなりつつあるようだ。

著者は、最後にアメリカ人の論文として、地球温暖化はでっち上げ、いまは温暖化バブル、という考え方も示している。
本書では、主人公をキャリアウーマンにしてあるが、深い意味は無さそう。今時ならあり得るかも。


リストラ屋
黒木 亮
講談社

2009/10/2
2009/7/1 発行

 投資家をあざむく仮面を剥ぎ取れ! 「市場と投資家を欺こうとする奴は、絶対に許さん!」。
米国ファンドからコストカットの手腕を買われて名門スポーツ用品会社の社長に就任した蛭田明。暗い過去を背負い、人を人と思わぬ非情さで次々と社員の首を切り、彼らを絶望の縁に追い込んでいく。
 片や、自らはストックオプションで莫大な報酬を得ようと、役員たちを恐怖政治で支配して粉飾決算に荷担させ、アナリストを抱き込んで株価を上げさせる。
 粉飾のカラクリにつけ込んで大儲けをたくらんだカラ売り専業ファンド「パンゲア&カンパニー」の北川靖だが、リストラの犠牲者たちのあまりに理不尽な現実に、いつしか義憤を募らせていく。蛭田と北川の対決はどちらが勝つのか?
(bookデータ)

     *****

 空売り専業ファンドなんてものがあるナンテ・・・・素人が下手に関わると大損、カモになってしまうのだろうなと思わせられた。
 この本の場合は、空売り屋を悪く書いていなくて、リストラ屋の方を、理不尽で非情に描き、わかりやすいストーリーにしていた。
 世の中はそんなにわかりやすくはないと思うけど。

 非情のコストカッターらしさがよくあらわされている表紙イラストは、ミツミマリさん。うまいなあ。


冬の喝采
黒木 亮
講談社

2008/12/28
2008/10/20 発行

 運動が得意でなかった少年が、中学二年で走る喜びを知り、長距離ランナーとなっていく。北海道で注目を浴びるが、高校時代はけがに泣き、陸上から遠ざかる。早稲田に入って瀬古に会い、再び走り始める。

     中学2年から大学4年までの大学ノート8冊の練習日誌をもとに書いた、自伝的スポーツ小説。本人も実名で登場している。

    2区をトップで走りぬけた瀬古利彦から襷を受け取り、4区で待つ走者にトップで襷を渡す。トップを走るのはこういうことなのか〜とカメラを向けられプレッシャーを感じながら走る。

 夢の箱根駅伝の走者になるまでの厳しいトレーニングや、中村清監督との葛藤など、故障を抱え不安ながら責任を果たした箱根駅伝にかけた青春の物語。自身の複雑な生い立ちと駅伝を走ることの意味が重なり合う。

     いつもの経済小説とは一味違った作品だった。練習メニューなどは、つい飛ばし読みをしてしまったけれど。


エネルギー
上・下


黒木 亮


日経BP社




2008/10/24

2008/9/8 発行

日経ビジネスオンラインに過去2年間連載されていたもので、「国際資源戦争」の最前線を描いた経済小説!

サハリンの巨大ガス田開発(サハリンB)を中心に、イランの「日の丸」油田をめぐる暗闘(オイル・スキーム融資案件やアザデガン油田開発案件)、デリバティブズで大きな損失を発生させる中国の会社の話などをからめて構成している。

読み終わってすぐの時期の新聞に、「サハリン2」LNG  来年初にも対日輸出 曲折を経て完成  資金回収段階へ という見出しを見かける。本で読んだことは現在進行形だったのだ。わお。日本のエネルギーはこのような困難を乗り越えた努力のおかげだとしみじみ感謝する気になった。

登場する中心人物は、旧財閥大手総合商社、五井(いつい)商事の金沢明彦、トーニチ総合商社取締役中東総支配人・亀岡五郎、通産官僚資源エネルギー庁石油政策担当企画官・十文字一(はじめ)。米系投資銀行JPモリソン・秋月修一。

読み応えがあり、しかも面白い。

 新聞によれば、サハリン2は「サハリンエナジーが事業主体。当初は外資だけの出資でロシア側と生産分与契約を結んだが、2007年にロシアのガスプロムが参画。現在の出資比率はガスプロム50%プラス1株、英蘭ロイヤルダッチ・シェル27・5%マイナス1株、三井物産12・5%、三菱商事10%、総事業費は二百億j(約1兆9千億円)とある。



貸し込み

上・下


黒木 亮



角川書店








2007/11/28

2007/9/30 発行
 旧三和銀行が脳梗塞で痴呆状態になった資産家に対して24億円不正融資した事件をモデルにした小説。そして事件を、退職した元行員のせいにしてしまうという、こんな酷い話が実話とは驚きだ。

 自分のせいにされかかっていることを知った
右近は、弁護士と裁判に向けて対策を講じていく。昔の出来事にもきちんと資料を整理して残しており、証明できるのがすごい。
 詳細に出来事の誤解を説くための陳述書を書いて裁判に提出する。あまり詳しいのでとばし読みしてしまったが、小説家はこんな物まで作るのかと驚きをもって読んでいたのだが、嵌められそうになった元行員というのが、実は黒木氏自身だったと知って、納得すると同時に黒木氏でなければ潔白を証明できなかったのではないかと思えてきた。

下巻は裁判が中心。裁判の為、日米を往復する右近。
東京地裁での証人尋問での受け答えは、相手の弁護士に言葉尻をつかまれることなくやりとりがすごい。
 被害にあった資産家の夫は、弁護士を換えたり、不利な事実を漏らしたりなど、裁判当事者の常識の欠如もあり、右近こと著者の憤りが並大抵でなかったと想像される。

 誰が署名を偽装したか、書類の偽装は、金を抜いたのは誰か、金はどこへ消えたのか、まるでミステリーだ。
ノルマに追われた銀行のメチャクチャぶりが恐い。

     *****************
 三和銀行が28億円を「融資」し数億円の利子をむしりとり、自宅が競売にかかるまで追い込んだ事件。現実の判決は 被害者・杉山さん側の全面敗訴だったそうだ。杉山さんが痴呆状態で判断能力がなかったという主治医、専門家らの証言、鑑定はことごとく「採用できない」とされ、妻・明さんの連帯保証契約の署名捺印を偽造(しかも「明」は「明子」と誤記されている)したという、偽造した張本人(公認会計士)の法廷証言があるにもかかわらず、「明さんは財産のことを夫に委ねていたので、夫が借金をするなら通例保証すると考えられる」という驚くべき理屈で、偽造保証契約も有効とされた。

 事件も信じられないが、裁判も驚きの判決。


カラ売り屋


黒木 亮


講談社





2007/8/5


2007/2/20 発行
「カラ売り屋―ー企業のバランスシートを徹底的に読んで、粉飾決算や悪材料を隠していそうな会社を探し出し企業の弱み(悪い材料)を見つけて、株価分析レポートで公表し、株価が下がったところで買い戻し、当初に売った高値と下落した買戻し価格の鞘を稼ぐ

「村おこし屋」―ー過疎化が進む地方の村おこしとして、 巨額の融資を取り付け、私腹を肥やしていく者たちがいる。詐欺師であるはずの堀井は、独特の魅力がある。井上は真っ当で地方統治を正道に戻そうとする側なのに、詐欺師堀井の最後の友達であり続ける。

「エマージング屋」―−新興国への融資にまつわる銀行間のやりとり、 そのリスクと隣り合わせでしのぎを削っていく者たち

「再生屋」―−過剰投資のホテルが経営難に陥り、 それを何とかして立ち直らせようと 自主再建の道筋を作り、駈けずり回る者たち。その中から恋も芽生える。

これら
の4編からなる。

 著者は現実の事件などを非常に詳しく取材し、実際のモデルを元に小説化している。村おこし屋は福岡へ行って、実際に似た事件が起こった場所を取材し、再生屋のモデルは和歌山ではなく九州のある温泉ホテルであり、北海道の企業も、そっくりな業態のものがあるそうだ。
 最近話題となっている、地方自治体の構造やあり方を考える作品でもある。
 面白いだけでなく「読者に新しい知識を与える」小説を心がけてきたと、著者が言うとおりの作品だ。面白い。


巨大投資銀行

バルジブラケット



黒木 亮




ダイヤモンド社







2006/4/11

 巻末には金融経済用語集や多数の参考文献があり、日本のバブル以前から金融大臣が経済を立て直そうとするまでの20年間を、外資で働く日本人を通して丁寧に描いていて、私のような金融界のビギナーが過去を要領よく知るには非常によい。(G5のプラザ合意、ブラックマンデー、アメリカ経済の復活、日本のバブルとその崩壊、喪われた10年 これらの解説と複雑な金融システムetc・・・)

実在の会社名や人物の間に、仮名の会社、人物を配しているが、どの会社のことかはわかるので、過去の経済事件のニュースを思い出しながら読んだ。
 
 桂木英一は東都銀行からモルガン・スペンサーに移り、対米投資先を探す日本企業との取引開拓に当たる。「日本に貢献したい」という思いが強い。
 竜神宗一、ソロモン・ブラザーズ東京支店トレーディング部門ヘッドは、日本を金儲けの宝庫と見る。裁定取引で巨額の利を稼ぐ。外資は「ハゲタカ」、日本をカモにしてあくどいというイメージを持っていたが、竜神のような人たちなのだろう。外資が強いのは、仕事の厳しさもあるが、邦銀のシステムの不合理さ、経験不足もあり、M&Aの場面では、はがゆくなってしまう。

 本書の中の桂木は誠実、堅実な仕事のやり方だ。だから読んでいても気持ちがいいし、頑張れと思う。
 桂木は、請われてまた古巣の都銀に戻り、未熟なM&Aを教えるが、銀行の合併騒動があり、また外資に誘われる。
 だが、日本の金融界の再生に力を貸して欲しいと請われ・・・。
 地道で、誠実で、出世から遠回りでも真面目に仕事をする桂木、お金の為だけでなく、世の中のために自分に何ができるか、日本のために自分にできることは何かと考え、仕事に対する姿勢が素晴らしい。結果的に出世もしている。桂木のような生き方って、男のロマン?



シルクロードの滑走路

黒木 亮

文芸春秋



2005/9/8

 日本の商社マンが、シルクロードのキルギスに航空機の購入を交渉している。キルギスは、共産主義時代の悪弊が残っており、交渉はなかなか進まない。
 
キルギスタン運輸省と東洋物産の間のMOU(覚書)の調印にむけ、航空機やファイナンスの手配、リース会社、金融機関との交渉、マナス航空によるエスクロウ・アカウント(信託口座)の開設・・・etc。運輸大臣は賄賂を求めるし、書類は事前に読んでおくこともしない、官僚は保身ばかりを考え書類にサインをしないなどロシア語と英語で通訳をはさんでのやりとりで、困難を極める。

 航空機ファイナンスは担保となる航空機に様々な保全措置を設けるので書類が多い。
交渉の場面は緊迫感があり、うっかりあいまいな文言にすれば大きな損害を被るのだろうと思うと読んでいてはらはらする。

 人物や場所の説明にあわせて、チェコの「プラハの春」、匈奴など中央アジアの諸民族の歴史、迫害されてきたクルド人についての説明が、理解を助けてくれてありがたい。

 シルクロードの異国情緒を感じ、民族問題も知り、そして難しい国際ビジネスの丁々発止の交渉現場を見せてくれて、不自然なラブストーリーのない硬派のビジネス小説である。


アジアの隼

黒木 亮






2004/5/18
 新興国市場として急成長を続けるアジア市場。90年代半ば、邦銀でアジアを担当していた真理戸潤は、ドイモイ政策で外国投資ブームに沸くベトナムの事務所 開設を託されハノイに赴任した。
 一方、アジア市場で急成長を遂げ、勇名を轟かせる香港の新興証券会社があった。その名は「ペレグリン(隼)」。同社の債券 部長アンドレ・リーは、アジアの王座への野心を胸に、インドネシアのスハルト・ファミリーに近づいて行く。
 賄賂が横行する共産主義体制下で、事務所開設に 四苦八苦を続ける真理戸は、邂逅した日系商社マンから、ベトナムの巨大発電所建設のファイナンスを持ちかけられた。約6億ドルのビッグ・ディール落札を目 指し、熾烈な闘いを繰り広げる各国の企業連合。真理戸と日系商社の前に、アジア・ビジネスの暗部を渡り歩く大手米銀のシンが立ちはだかった…。
 やがて迫り 来るタイ・バーツ暴落と通貨危機。その時市場では何が起こったのか?そして三人の東洋人のディールの行方は。(Bookデータベースより)

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虚栄の黒船
小説 エンロン
黒木 亮

2003/12/9


トップレフト


黒木 亮

祥伝社





2003/11/3

2000/11/10 発行

ひとつの銀行では負担しきれない巨額の融資を複数の銀行が融資団をつくることによって実現する国際協調融資。
 融資団を取りまとめる主幹事銀行の名は、調印時に作成される「ツームストーン(融資完了広告)」において、常に融資銀行団の最上段左端に記される。
 トッフ・レフトは勝者にのみ与えられる、市場の神にもっとも近い地位である。

 欲望とリスク栄光と失意が交錯するロンドンの国際金融ビジネス。都銀上位行の富国銀行ロンドン支店次長の今西は、じり貧の邦銀で必死にティールをこなしていた。案件の多くは中近東を中心とする国際協調融資。ある日、今西に日系自動車会社のトルコ現法向け15千万ドルの巨大融資案件が持ちかけられた。

 資金の使途はイラン工場建設資金。が、米国の投資銀行に勤める日本人龍花がその情報を聞きつけた。強引な手法で単独・全額引受け(ソール・アンド・フルアンダーライト)を目指すウォール街の鷲と、誇り高き金融街シティの契りで結ばれた今西率いる四行共同引受けグループとの息詰まる闘い。その渦中で、世界の金融界を揺るがす巨額のM&Aが持ち上がった…。果たして栄光の主幹事の座を射止めるのはどちらか?在英現役国際金融マンが空前のリアリティで描く、驚嘆の国際経済小説! (表紙後ろ扉の紹介より)

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