ダン・ブラウン  Dan Brown


1964年ニューハンプシャー生まれ。アマースト大学を卒業後、英語教師から作家へ転身。
   2003年3月、“The Da Vinci Code”を刊行、無名の作家ながら、1週目からベストセラーランキング1位を獲得、大ベストセラーに。
2000年に刊行したシリーズ第一作である「天使と悪魔」も同時に売れ始め、
一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たす。
父は数学者、母は宗教音楽家、そして妻は美術史研究者であり画家でもある。




ロスト・シンボル
上・下

ダン・ブラウン

越前 敏弥 訳

角川書店



2010/8/16

2010/3/3 発行

 『ダ・ヴィンチ・コード』の事件から数年経ったある日、ハーヴァード大学の宗教象徴学教授ロバート・ラングドンは、フリーメイソンの最高位階にある恩師ピーター・ソロモンから講演の依頼を受け、ワシントンDCへと赴く。ところが、そこに待ち受けていたのは、ソロモンの切断された手首と、"古の神秘"に至る門を解き放てという謎の男からの脅迫だった。そこへ、CIAの保安局局長サトウが突然駆けつけ、国家の安全保障のために、謎の男の要求に従うようラングドンに迫る。一方、ソロモンの妹である純粋知性科学者キャサリンのもとにも、その命と研究成果を狙う魔の手が迫りつつあった
 フリーメイソンが守りつづけてきたという"古の神秘"をめぐる追跡劇を軸とし、暗号解読、名所めぐり、歴史的建造物や芸術作品に関するさまざまな蘊蓄といった、ラングドン・シリーズにおなじみの要素が、この作品にもふんだんに盛りこまれている冒頭からクライマックスまでわずか半日程度の物語のなかで、歴史上の事実とフィクションを巧みに織り交ぜて知的好奇心を刺激しながら、映像的な手法でぺージを繰らせる驚異の技巧は相変わらず健在だ。(訳者あとがきより)

    **********************

 今までの作品と比べ、ごちゃごちゃした印象だ。少しずつしか謎解きをしない(当たり前だが)あまりにも作為的で、しかも、日本人にはなじみの薄い内容だ。
 フリーメイソンについては、世界の裏で歴史を動かす秘密結社というおかしな扱いをしていないので、意外な感じがした。

 いろいろ突っ込みどころはあるが、それでも読み出すと次が気になって止まらなくなるのはさすがというところ。

 ダン・ブラウンの作品を待ちかねるように詳しく分析、解説しようとする書物が出る。「『ロスト・シンボル』の真実」など。出版される前から何を書こうとするのか予想し、一部当ててしまうくらい熱心だ。建物や絵画、謎など、どこが真実でどれがフィクションかを分析し解説する。こういう読者を惹き付けるのは元の書物がすごいからなのかもしれない。


パズル・パレス 
上・下


ダン・ブラウン

越前 敏弥
熊谷 千寿 訳

角川書店



2006/7/31
著者の処女作。原題は「DIGITAL FORTRESS」(デジタルの要塞)
 全通信を傍受・解読できるNSAのスーパーコンピュータ〈トランスレータ〉が狙われる。対テロ対策として開発されたが、一般市民の通信全てをも監視可能なこのコンピュータの存在は決して公にできない国家機密であった。だが、この状況に憤った日本人元スタッフが、自ら開発した「デジタル・フォートレス」という解読不可能な暗号ソフトを楯に、〈トランスレータ〉の公表を迫ったのだ。このソフトが流布されれば、アメリカは完全に無防備になってしまう……。(カバー)
 
 専門知識のわかりやすい解説がふんだんに盛り込まれ、短い章立てのスピーディーな展開と、政府機関の魅力的な女性職員スーザン・フレッチャーが主人公に据えられ、大組織NSAの謀略に翻弄されながらの活躍がポイント。

 エンセイ・タンカドというおかしな名前の日本人が出てくるが、原爆の影響で身体障害のある天才で、世界最高のコンピューターにウイルスをしのばせることに成功する。セキュリティの壁が次々と破られる、それを止めるのは、タンカドが用意したパス・キーだけだ。
 スーザンの恋人ディビッド・ベッカーがタンカドの持っているパス・キーを探してスペインへ。
 タンカドが死ぬ直前に見知らぬ人に指輪を託し、指輪は次々と持ち主を換え、持った人は順に殺され、やっと手に入れたディビッドも命を狙われる。
 
 パス・キーは、暗号文の解読をし、解釈が・・・・。登場人物が謎を解こうとモタモタしている間に、読者は答えがわかってしまう。つっこみたい所はあるけれど、どんどん先へと進んで、面白く読めるサスペンス。




デセプション・ポイント

上・下

ダン・ブラウン

越前 敏弥 訳

角川書店



2005/9/29

 「天使と悪魔」と「ダ・ヴィンチ・コード」の間に発表されたミステリー。他の二作品は宗教がテーマだったが、本書は科学技術を扱う。これまで同様、知的好奇心を刺激するウンチクの面白さが魅力である。

 大統領選挙戦のさなか、アメリカ航空宇宙局(NASA)による北極での大発見を機に、NASA擁護派の現職大統領と批判派の対立候補との熾烈な駆け引きが繰り広げられる。よりにもよって対立候補の娘は、大統領の下で機密文書の分析や要約を仕事にしているからややこしい。 大統領の直々の依頼でレイチェルは北極圏ミルン棚氷で、氷に埋まった巨大な隕石を目にする。科学者チームと調査を進めるうちに、レイチェルは信じられない謀略の深みにはまり込んでゆく


 化石を含んだ隕石の発見・・・・地球以外の生命の存在を示唆・・・・隕石は本物か・・・・隕石が本物でないとしたら誰が仕組んだのか・・・・だれが命を狙ってくるのか・・・・。最後には意外な真実が・・・・・。
 
 
読み始めたら途中でやめられないほど面白い。大統領選の裏側、権謀術数のあれこれ、NASAの苦悩や活躍、隕石と岩石の違い、化石の知識、専門知識の分かりやすい解説がふんだんに盛り込まれ嬉しい。
 ダン・ブラウンは、事実と虚構の織り交ぜ方が絶妙で、まだ理論的な段階の技術が実用化されたかのごとく使われ、思いつき、または仮説が出ただけのテクノロジーも既成の事実の如く出てきて楽しませてくれる。
 デセプションを辞書で引くと「欺くこと・欺瞞」 



天使と悪魔
 上・下

ダン・ブラウン

越前 敏弥 訳

角川書店



2005/9/11

 後から書いた「ダ・ビンチ・コード」の方がベストセラーになって後、注目された作品。共通要素が多い。今回のテーマは科学と宗教の対立。

 殺された男の全裸死体には焼印が押されていた。はるか昔に消滅したはずの秘密結社イルミナティの紋章だった。殺されたのはスイスの科学研究所セルンの科学者ヴェトラ、極秘のうちに反物質の生成に成功していた。

 ヴァチカンではローマ教皇を選出するコンクラーベ(選出会)が開かれるところだったが、有力候補の4人は失踪。イルミナティが自分たちを迫害し続けたカトリック教会に復習するため、4人の枢機卿を一人ずつ殺して死体をさらすとほのめかす。

 
反物質は、セルンから盗み出されて安全装置が解除されたので夜の12時の大爆発までのカウントダウンが始まっている。

 殺害された科学者の娘ヴィットリアと、世界的に有名な象徴学者のロバート・ラングドンの二人が謎を解き、殺人者とその黒幕を追いかけるタイムリミット・サスペンス。

 この作品の魅力は、膨大な量の薀蓄が満載されていること。セルンと反物質、イルミナティーとフリーメイソン、アンビグラム、ヴァチカンとカトリックの地理や歴史、教皇選出の方法、ローマの建築や美術などにまつわる専門知識を、ラングドンやヴィットリアの口を借りてうまく解説させている。



ダ・ヴィンチ・コード
上・下

ダン・ブラウン

越前 敏弥 訳

角川書店



2005/8/14


 ルーブル美術館館長ソニエールが館内で死体となって発見された。ソニエールが死の直前に残したメッセージには、ラングドンの名前が含まれていた。ハーヴァード大学教授ラングドンは、第一容疑者として現場へ連れてこられた。
 現場に駆けつけてきた館長の孫娘で暗号解読官ソフィーとラングドンは、複雑怪奇なダイイングメッセージやフィボナッチ数列、黄金比、アナグラム・・・数々の象徴のメッセージを示した暗号を協力して解いていく。暗号の中にまた暗号、その解読が面白い。シオン修道会、オプス・デイ、テンプル騎士団などの、神学、キリスト教史、象徴学など知識欲を満たしてくれる作品である。ラングドンが大学教授という設定なので、簡潔に説明がされて講義を聞いているようだ。
 

 章の節々が、いいところでCMにはいるテレビ番組のようなもどかしさを感じつつ、映画を想定して考えたような派手な場面は楽しませてくれる。

 ダ・ヴィンチが英知の限りを尽くして暗号を書き込んだ絵画〈最後の晩餐〉が示しているものは・・・・
 
 「・・・記述はすべて事実に基づいている。」で始まる物語だが、ほとんどは作者がわずかな事実をふくらませたり、仮説を定説として扱ったりしているようだ。聖杯伝説とダ・ヴィンチの絵の謎を題材に事実と虚構を巧みに織り交ぜたサスペンス・ミステリー。

 この一作を読めば研究書をまとめて読んだような満足感を感じる、品揃えを重視した「大衆レストラン」のような作品だ、という書評家の言葉に同感だ。

  関連書籍 ダ・ヴィンチ・コードの「真実」


読書日誌Top

 Top

読書会 栞 記録           2006年10月18日
ダン・ブラウン  「ダ・ヴィンチ・コード」
H・T  今回読んだ、ダ・ヴィンチ・コードですが、私にとってはかなり難しい内容でした。この話はキリスト教(聖書)についてのある程度の知識がないと面白さがわからないような気がします。むしろ、もう一冊読んだ「天使と悪魔」のほうが読みやすくて面白かったです。
N・W フランスのルーブル美術館の逆さピラミッドの下の小型のピラミッドに聖杯がある――という結末部分を読み“あーもっと逆さピラミッドをよく見てくれば良かったぁ〜”と思った。この本はもっと早くじっくり読んでからルーブル美術館に行けばよかったと、かえすがえすも残念に思った。内容的には面白かったが、事実とフィクションと違いを間違えないようにしなくては、と肝に銘じた。
R・K 私の頭の中で“コード”という言葉だけが生きていて「解説書かしら?」なんて今月に入るまでのんびりしていたが、Book off にて3冊315円で購入出来て、外国人名と闘いつつ3分の1弱を読みました。面白いとは思いながら栞で皆さんの感想を参考にして読破して映画もみたいと思っています。
S・M 読書会で取り上げてくれたおかげで読めた外国文学。サスペンス調の所がおもしろく、読めてよかったです。レオナルド・ダ・ヴィンチの絵を鑑賞したいな!
M・K 多くの人に読まれている本だけに楽しみにして読みました。ミステリアスな面白さは良く書かれていると思いますが、結末がなぜか物足りなく感じました。
J・Y ストーリーが面白くて、内容の真偽はともかく、あっという間に読んでしまった記憶があります。有名なダ・ヴィンチの作品と宗教問題を織り交ぜて興味ある内容だったと思います。ルーブル美術館へ行く人も増えたのではないでしょうか。テレビでも話題になっている作品ですが、ストーリーの展開性は上手だなと思います。
T・Y ようやく上・下巻を読み終えました。私には手ごわい、大変手ごわい一冊でした。

T・S

ソニエールが襲撃されラングドンに連絡が入ったのが夜中の12時32分。長々と話し移動し逃げ回り暗号を解きそしてイギリスに着くのは夜明けである。遅い!時間のたつのが遅過ぎる。私は読みながら時間感覚が麻痺し混乱してしまった。何百年もの間秘密にされていたことがあっと言う間に解き明かされていく急展開ストーリーだ。もっともらしいけれど都合のいい説だけをちりばめてあるんだろうなぁ。それでも、世界を変えてしまうほどの真実が隠されているという序盤から中盤は大いに盛り上がって読むにも気合が入った。それなのに、ラストが小ぢんまりとし過ぎて「あらっ?これで一件落着にしちゃうの?」と梳かされた気分で読み終えた。今、田中さんお薦めの「天使と悪魔」を立ち読み中(文庫「中」途中)だが、おもしろい。あやしいと感じている人物が犯人かどうか楽しみだ。

Y・Y 品揃えを重視した「大衆レストラン」のような作品だ、という書評家の言葉が示すように、この一作を読めば研究書をまとめて読んだような満足感があった。ところが、書かれていることは事実ではなく、聖杯伝説とダ・ヴィンチの絵の謎を題材に学説、仮説、伝承、伝説、噂までが使われていたことがわかってがっかりしたものの面白いことは間違いない。