牛肉の品種分類     

  日本において流通する食牛の分類

  日本では、黒毛和牛肉・国産交雑種・国産牛肉・輸入牛肉の4つに大別されます。
 味の特徴は、肉色がやや濃く淡泊な味わいの輸入牛肉、肉色は鮮紅色であるが、脂肪の
 味わいが薄い国産牛肉(乳牛去勢牛)、肉質的には似ているが、味わいは和牛には劣る
 F1(交雑種)、肉に霜降りが入り芳香で濃厚な味わいの黒毛和牛と言えると思います。
 

●和牛 ー黒毛和種、褐色和種
●交雑種ーホルスタイン種の雌に黒毛和種の精子を人工授精させたもの。別名「F1」。
●国産牛ーホルスタイン種(元々外来種で乳牛用種)雌は搾乳、繁殖。雄は食肉用。
●輸入牛ーアンガス種、ヘレフォード種、雑種が大半。
 

  よく間違った風評で「外国で産まれ育った牛を最後通ヶ月だけ日本で育てたものが、
 和牛や国産牛として売られている」等、他にも似たような俗説を耳にします。人間の
 国籍といった問題とは違い、例えば、日本人が米国で産まれた場合、国籍はともかく、
 見た目の姿は日本人といえます。また、父親が米国で母親が日本の場合でも、出産地は
 ともかく、両方の遺伝的要素を受け継いでいる訳で「どこで産まれ、どこで育った」と
 区別を持ち出して品種を語るのはナンセンスといえます。美味い不味いの判断材料とは
 ならないのです。
  品種として区別すると、和牛とは日本で出産し、日本で肥育、最終的に日本食肉市場
 取引されたものが正しいです。しかも、和種の血統経路(家系図)が最低三世代前から
 和種と証明されているものです。

 

   ●和牛  黒毛和種・褐色和種・日本短角種・無角和種

  
  和牛とは、品種が和種のことを言います。和種は日本和種として最低でも三世代前を
 さかのぼり、今日も認定されている種だけが当てはまり、科学的にも遺伝的検証、証明
 されている純血品種を指します。日本では戦後の食糧安定供給に伴い、国策として食肉
 生産の中、和種認定された四品種が現在も流通、存在しています。その純血血統が守ら
 れ続けている、犬でいうブリーダーのようなものです。その四種の中でも割合の80◯
 90%を占める黒毛和種を主に和種と表して言うことが多いです。
  日本三大和種として黒毛和種・褐毛和種・日本短角種があり、この三種でほぼ100%
 を占めています。黒毛和牛は和種の中でも霜降りや肉質が最も良く、旨味の良さと需要
 の多さゆえ、高価取引きされるため、黒毛和種が和牛全体の70◯80%、近年は90%
 近い割合を占めています。有名ブランド牛として知られる、松坂、神戸、近江、山形
 (米沢牛)、前沢等は黒毛和種です。褐色和種は熊本と高知などが有名です。
 

  ●国産牛(和牛=国産牛ではありません)
  
 国産牛とは、日本で肥育された牛ではありません。育てられたという定義ではなく、日本
国内で食肉用に加工したもの(精肉したもの)を国産牛と言います。また、和種以外を日本
で食肉加工したものを指します。日本の牛としてもイメージが定着しているホスルタインは
乳牛種として生活に密接に関係しています。乳牛のホルスタインは、実はオランダの外来種
です。雄として産まれた場合、乳製品を生産できませんから、食肉牛として飼育に回されま
すが日本で生まれ育てられても、和牛ではなく国産牛として扱われます。
 したがって、食肉業界では「食肉用の和牛」と「搾乳できない雄は食肉用、雌は搾乳用に
乳製品の生産に回すホルスタイン(乳牛)」とは厳密に区別されています。和牛と国産牛は
肥育方法・期間等の人経費他、味や肉質が異なることによる需要価値から、市場の価格評価
は大きく開きがあります。だからといってホスルタインの精肉が不味いということではあり
ませんし、誤解しないで下さい。黒毛和種は費用がかかり過ぎる問題もあり、全国でもホル
スタインの肥育は盛んで、美味しい食肉も生産されていまし、味として楽しむポイントも異
なります。実際、国内で精肉・加工品全体で使われている内の半分くらいはホルスタインの
割合になっています。
 その生産量の多さから国産牛とは、主にホルスタイン種を指していることが多いです。
後に説明します、F1も国産牛に分類されます。和牛を国産牛とは呼びません。

 
 
  ●輸入牛(主に米国、カナダ、豪州、NZ。EU諸国との取引はほとんどありません)
  
 輸入の主取引国は、米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの4国です。輸入
牛の場合、放牧の自然交配による生産のため雑種が殆どを占めます。一部、米国・豪州など
で日本市場への輸出用にブリーダーの品種(ブランド化された銘柄)肥育生産もしていて、
近年は量も増える傾向にあります。基本的には雑種が主力になっています。
 本来、欧米的評価では子牛が評価されます。子牛は肉質に臭味やクセがないため、あらゆ
る料理に適すからです。そういった理由から、授乳だけで育てた子牛や若年肥育で食用とし
て処理されるのですが、逆に日本は長期肥育での脂肪交雑が入ったものが評価されているの
で、日本市場の輸出用として、日本のような肥育で、霜降りが入る日本人好みのものを生産
しており、年々増加の傾向にあります。また、輸入物は、味わいもなく美味しくないという
ような意見を耳にしますが、そもそも食肉に対する味覚への楽しみ方が異なり、遠路輸送さ
れることが味を損なう、マイナスに作用する要因になりえますが、そのような一方的意見は
早合点です。価格の高い、安い他にそれぞれに特徴があるので自分の味覚の嗜好により、扱
う料理により、適応が異なるものだといえます。
 

 
  ●交雑種(ハイブリッド、F1と言われ、和牛や国産牛とも区別されている)
  
 1991年、牛肉の輸入自由化が、F1(交雑種)を生産するきっかけになりました。「価格競
争、生産力の安定化、食肉牛の需要過多、コスト削減、需要の多様化」等々、日本の生産者
側が、国際競争時代に対応しなければならない自由競争の流れになりました。牛は年一産の
一頭しか出産できないので、他の家畜食肉類と比べ、効率化や大量生産が難しい現実があり
ます。そこで、乳牛(ホルスタイン)種の雌に黒毛和牛の精子を人工授精し、和牛の肉質に
近い交雑種(F1)を生産するような状況になりました。今日の段階では、旨味という点では
和牛との差は歴然としています。しかし、今後改良が加えられ、ホルスタインよりも食肉の
市場的な需要もあり、多く生産されていく傾向にあります。
 

 
 最後に............
 
 日本で流通する品質は、「和牛」「F1(交雑種)」「国産牛」「輸入牛」と4つに大別され
ている状況です。輸入牛も日本市場には力を入れており、日本人の嗜好に合う、霜降り牛の
生産や改良が今後も増えていくことが予想され、国内の競争同様に、国を越えた競争が増し
て激化するといえるでしょう。生産者を守る意味で言うのではありませんが、BSE問題で言
われていたような、生産者には多くの厳しい競争下にあり、消費者を無視した生産は自分達
の生活を悪くする事は認識していますし、モラル無き生産者的な報道は、立場を欠いた一方
的な意見だったと感じます。