我が家では、火災保険の検討もいろいろ行いました。
まず、一般的には住宅金融公庫からの融資で家を建てる(購入する)人が 多い(2001年当時)と思いますが、当時は低金利の時代で、我が家は住宅金融公庫に限らず さまざまなローンを検討しました。
ローンそのものの条件比較はもちろんのこと、火災保険の比較検討も必要でした。
通常のローンの融資条件には融資物件への1.抵当権設定登記と、 2.火災保険への加入、そして3.火災保険金への質権設定 がつきものです。
貸す側は返済ができなくなった場合、その家を売って残金を返済させる根拠となる 抵当権と、火災等になった場合に備え火災保険に加入させ(=もちろん借りる側の負担で)、 被災した場合は保険会社から支払われる保険金で真っ先に返済させる質権をもって、 取りっぱぐれのないようにしているのです。
ですからローンの検討と同時に火災保険の検討も必要となるのです。 結論としては、我が家では住宅金融公庫の特約火災保険に加入することにしました。 これは住宅金融公庫の融資を受けるための費用を払っても、その他の火災保険より 住宅金融公庫の特約火災保険のほうが安いと判断したからです。
さて、念のため申し添えておきますが、火災保険は地震および地震に起因する災害には
保険金は支払われません。例えば地震でお隣から出火し延焼したような場合は、
保険金を受け取ることはできません。また、家財についても保険対象外ですので
注意が必要です。
万一保険金が全額支払われるような事態になった
場合、保険金は融資元(住宅金融公庫や銀行など債権者)に質権をとられているので、
まず融資元に支払われます。そして残債に充当されたあと、残りがあれば保険加入者に
支払われる仕組みとなっています。残債すべてが支払うことができれば、抵当権は
抹消されることになります。つまり、持ち主の手には保険金全額が支払われる
わけではないので、再調達可能な十分な金額を保険金額とする必要があります。
またローンを利用している全期間に渡って火災保険に加入しなければなりませんが、
常識的にはローンを利用し終わっても火災保険が必要です。この点でも公庫の
特約火災保険は融資期間が保険期間の限度となりますが、繰上返済をしても
火災保険だけは残るので、有利と考えました。(2004/9/22up)
保険料については、家の構造、すなわち燃えにくさと建っている場所、そして
保険金額で決まります。公庫の特約火災保険で、兵庫県神戸市での例で
検討してみましょう。
注:2004年4月1日現在の数字をもとにしています。
まずは「保険料率」を算出します。スウェーデンハウスでは、普通に建てると「木造」となり、
オプションで「省令準耐火」仕様とすることができますので、両方の検討を行いました。
| 構造 | 料率 |
| 木造 | 0.72 |
| 省令準耐火 | 0.39 |
ちなみに家の建っている場所による違いも調べてみました。
| 構造 | 北海道 | 宮城県 | 東京都 | 愛知県 | 大阪府 | 兵庫県1 | 兵庫県2 | 福岡県 | 鹿児島県 |
| 木造 | 1.16 | 0.82 | 0.75 | 0.86 | 0.84 | 0.77 | 0.72 | 1.07 | 1.51 |
| 省令準耐火 | 0.38 | 0.38 | 0.38 | 0.47 | 0.47 | 0.39 | 0.39 | 0.47 | 0.47 |
ここで言う「保険料率」とは、保険金額に対する係数で、保険金額に保険料率を掛け、
千分の一にした金額が年間保険料となります。
そこで、保険金額1000万円の保険料で比較してみると、こうなります。
| 構造 | 料率 | 計算式 | 年間保険料 |
| 木造 | 0.72 | 1000万×0.72×0.001 | \7,200- |
| 省令準耐火 | 0.39 | 1000万×0.39×0.001 | \3,900- |
スウェーデンハウスはやや高い家なので、仮に坪単価75万円として、だいたい標準的な
40坪(約132m2)の家なら、再調達価格は3000万円と仮定します。
保険金額3000万円の年間保険料では、こうなります。
| 構造 | 料率 | 計算式 | 年間保険料 |
| 木造 | 0.72 | 3000万×0.72×0.001 | \21,600- |
| 省令準耐火 | 0.39 | 3000万×0.39×0.001 | \11,700- |
さて、保険期間ですが、火災保険は年間保険料を毎年払うこともできますが、
長期の期間分を一度に払うこともできます。私は「ローンが終わったら火災保険も終わり」
とはならないと考え、長期の保険加入を前提に考えました。
長期の保険料を一括で払う場合、一度に払う負担は大きいですが、
保険料総額は安くなります。
期間に応じて年間保険料にかける数字を「長期係数」と言います。ここに例を示します。
| 期間(年) | 1 | 5 | 10 | 20 | 30 | 35 |
| 長期係数 | 1 | 4.25 | 8.00 | 14.40 | 19.55 | 21.75 |
そこで神戸での保険金額3000万円、保険期間35年間の保険料を計算するとこうなります。
| 構造 | 計算式 | 保険料 |
| 木造 | 3000万×0.72×0.001×21.75 | \469,800- |
| 省令準耐火 | 3000万×0.39×0.001×21.75 | \254,400- |
さて、神戸での木造と省令準耐火の差は215,400円。これを広さ40坪の132m2で割ると、
\1,632/m2となります。この金額で省令準耐火にするためのオプション費用が賄えれば
アップグレードした方がいいという事になります。
私が家を建てた2001年当時は、料率も違っていましたので、差額がもっと少なく、
結局省令準耐火仕様にはしませんでした。
スウェーデンハウスは標準でも強い耐火性を持っていること、
建設地が準防火地域で、それに対応した家にするともともと耐火性を考慮した家になっている
ことがわかっていたからです。
注:スウェーデンハウスでは2004年の6月頃から省令準耐火仕様が標準になりました。
省令準耐火仕様では、すべての石膏ボードに火気使用室用の耐火ボードを使用し、
ボードのつなぎ目にモルタルを充填するなど、一層火災に強い家になります。
(2004/9/22up)
2004年9月7日〜8日の台風18号で、世界遺産の厳島神社では、
国宝の左楽房1棟が倒壊し、同じく国宝の本社祓殿(はらいでん)の
屋根にふかれた檜皮(ひわだ)の一部が飛ばされた。

結局我が家は公庫の特約保険に入るため、必要のない融資を公庫からして、 手数料や登記までしました。それでも一般の火災保険より安かったからですが、 なぜこんなに火災保険は高いのでしょう。そこでちょっと調べてみました。
日本損害保険協会(以下「損保協会」)によれば、加盟している国内24社は
2003年度に、火事を含めて3100億円の保険金を支払ったそうです。
ところが、2003年度に集めた保険料は火災保険だけで、1兆4700億円であり、
還元率は21%に過ぎません。
集めた保険料から支払った保険金の率を還元率と言いますが、例えば競争の
激しい自動車保険では6割近くの還元率となっています。
また、保険ではないですが、お金を集めるのが目的、つまり還元率が低く抑えられている
「宝くじ」でも、売り上げの46%が当選金として購入者に
払い戻されています。
これに対して、還元率21%とは儲け過ぎではないでしょうか。
2003年度は自然災害が少なく、損保業界にとっては恵まれた年だったのは確かですし、 年度の変動があることも事実です。実際2004年は台風の当たり年で、9月4〜8日に日本を 襲った台風18号で、今年日本に上陸した台風は7個となりました。1990年と1993年の6個を 上回り、観測史上最多を数えています。台風の数だけでなく、7月に新潟福島での豪雨、 福井での豪雨など、今年は被害額が膨らみ損保各社には支払請求が殺到しています。
損保協会によると、8月末の台風16号による火災保険(多くは風水害も保険対象と なります)や自動車保険(一部の車両保険が風水害をカバーします)の保険金は、 業界全体で約793億円と見込まれています。これは歴代6位の記録だそうです。
| 順位 | 災害名 | 保険金支払 |
| 1 | 1991/9 台風19号(全国) | 5679億円 |
| 2 | 1999/9 台風18号(熊本・山口・福岡など) | 3147億円 |
| 3 | 1998/9 台風7号(近畿地方) | 1600億円 |
| 4? | 2004/9 台風18号 | ?1200億円? |
| 4 | 2000/9 中部地方豪雨(愛知など) | 1030億円 |
| 5 | 1993/9 台風13号(九州・四国・中国) | 977億円 |
| 6 | 2004/8 台風16号(全国) | 793億円 |
| 22 | 2004/7 新潟・福島豪雨 | 150億円 |
| 40 | 2004/7 福井豪雨 | 63億円 |
台風16号の後に来た台風18号はさらに被害が大きく、44人の死者・行方不明者を 出しました。被害額は大手損保の予想では「16号の1.5倍くらい」と見込んでいます。 仮に1200億円なら歴代4位に躍り出る被害の大きさです。二つの台風だけで、 支払い保険金2000億円突破の可能性もあります。損保会社によっては、 業績下方修正となる会社も出るでしょう。
しかし、ちょっと計算してみると今年の台風16号と18号で2000億円、 福井豪雨で63億円、新潟・福島豪雨で150億円と、合計2213億円。 それに2003年にすでに支払った保険金が3100億円なので、総合計で 5300億円あまりとなりますが、2003年の火災保険料だけで1兆4700億円を 集めたのですから、還元率はわずか36%程度です。
支払保険金額が最高額であった1991年の台風19号を考えてみても、1991年度を 含む過去13年間の合計でも還元率は23%だそうです。ちなみに91年の台風19号は 40年に一度と言われる被害をもたらしましたが、「40年に一度」が根拠を持つなら、 危険率は2.5%の確率で起きると言うことになります。
火災保険料は1998年から自由化されていますが、自動車保険のように競争原理が働いて いるとは思えません。特に家庭向けの火災保険は、ローンなどの場合は指定の保険に 半強制的に入らされたりしますし、なにより長期契約が普通で自動車保険のように 保険会社の乗り換えが起きにくくなっています。結果的に損保会社の濡れ手で粟の 稼ぎ頭になっているようです。それでいて被害が集中的に広く発生する地震の被害は 担保しないなど、損保会社にとってはリスクの低い商品であることは間違いないでしょう。
また、91年の台風19号の被害を教訓に、巨大災害に備える「異常危険準備金」という 制度があります。これも火災保険料の高止まりの要因になっているようです。 東京海上は正味収入保険料の7.7%を、損保ジャパンは同様に6.5%を毎年繰り入れて いますが、現在は業界全体の残額が火災保険だけで9000億円弱に達しています。 この金額は制度発足の根拠となっている、91年の台風19号の被害額5679億円をとうに 超えています。金融庁と損保業界は、来年度から「備えるべき災害」を70年に一度と 言われる59年の伊勢湾台風級に格上げしようとしています。本当に格上げする必要が あるのかも疑問ですが、どうもこれは「準備金」を増やし続ける口実のように 見えます。
損害保険料率算出機構が伊勢湾台風が再来した場合のシミュレーションが あります。このシミュレーションによると、支払保険金は業界全体で 1兆1000億円でした。何度も繰り返しますが2003年の火災保険料だけで1兆4700億円 です。
業界一効率的な運用で知られる東京海上ですら、火災保険の事業費率は
4割を超えています。事業費率とは、人件費や物件費が正味収入保険料に占める
割合ですから、儲けすぎなのを隠しているのではないかと勘ぐりたくもなります。
また国際会計基準では、巨大災害には留保利益で対応する方向にありますので、
それにも反します。私たちの払った火災保険料は、どのように使われているのか、
もっと監視が必要かもしれません。(2004/9/22up)
【参考:日経ビジネス2004.9.20号】