アトピー性皮膚炎に良いといわれる温泉は世にゴマンとありますが、実のところ どのような温泉を選ぶべきかなかなか迷う所です。そこで今回は、おすすめの温泉・温泉の気になる点 などについて考えてみたいと思います。

●先ずは、アトピーにおすすめの泉質は?

1、食塩泉をおすすめします
・・・・ 食塩泉は別名「熱の湯」とも呼ばれ、日本の温泉には比較的多く、身体を温める効果が高い事が知られています。

代表的なところでは、

愛知県では 三谷温泉・美浜海炎温泉・内海温泉・南知多湯本温泉 など岐阜県では うすずみ温泉・飛騨高山温泉・高浜温泉・大白川温泉・海津温泉・板取川温泉・平湯温泉・羽島温泉・恵那峡湯元温泉 など

基本的に食塩泉の効能の中には、皮膚炎の効能が見当たりませんが 海の濃度ぐらいの塩分濃度であれば 皮膚の新陳代謝を高め 軽いアトピーなら数日のうちに大幅に症状が改善する事を 経験的に感じている人も多いと思います。
その効果は、温泉成分による直接的なものなのか 自律神経が整う事による効果なのか はっきり断定はできませんが、たぶんその両方の働きが複雑にからみあいながら効果を発揮しているものと考えられます。

2、単純泉その他ほとんどの温泉においては、多くの温泉地が自然豊かな所にあり そのような環境下では、きれいな空気を吸い きれいな水に接し マイナスイオンを全身に浴びることになりさらに 温泉での温浴刺激、水圧刺激、ミネラルイオンによる皮膚刺激などにより 自律神経の働きが整うような効果が出てまいりますので、食塩泉でなくとも それなりの効果は期待できるのではないかと思います。

3、唯一あまりお奨めできないのが、硫黄泉(イオウ泉)です。
硫黄泉は効果効能に皮膚炎がありますが、皮膚を乾燥させてしまいますので、アトピーの方には不向きです。


●入浴法に関して。

湯治としての温泉は、基本的には最低2週間以上の滞在を必要とします。

アトピーを含めた慢性的疾患を温泉による自然療法で改善しようとするのに、当然のこととして一日や二日でどうこうなるわけでもなく、たまたま1回の温泉地での入浴によって多少改善したとしても、もとの生活に戻れば 皮膚も たちまち またもとの状態に戻ってしまうでしょう。
免疫力を高めて、からだの機能が改善される為には 温泉療法の場合『湯あたり』が必要と思われます。

『湯あたり』とは、慢性疾患をかかえた人が温泉で湯治を始めたときに、2〜3日後から体のあちこちから炎症性の湿疹が現れたり 強い疲労感と共に脱力感、発熱などを伴う全身症状などが出てくる現象で、これらの症状はほぼ2週間以上続きます。まるで ひとつの機能を高めるために、それにみあう代償を神が求めているかのように 高まり度合いの大きさに応じて 湯あたりの度合いも大きくなります。

湯あたりが治まるためには 最低2週間かかりますので 当然湯治期間も最低2週間かかるわけです。

さらに、その後からだが癒されて 高まった免疫機能などを自分のものにして 安定化された自律神経が備わるためには、最低6ヶ月という期間が必要となってきます。

温泉療法というのは、温泉地に行くという感覚ではできません。
温泉地で生活をする という覚悟を持って行くところです。

当店が経験的に感じることは、「アトピーを含めた慢性病が改善する度合いは、その患者の覚悟の大きさに因っていて、言い訳の数だけ また 自分に対する甘えの数だけ 改善の到達度が低く押さえられると言う事です。もちろん、その改善の方向性が間違っていれば 到達度どころか 悪化の原因にもなりますので よーくよーく考えて治療方針を立てなくてはいけません。





●温泉のデメリット
温泉の効用については、ありがたいことはいろいろ耳に入ってきますが、その裏にある ありがたくないことについてはあまり情報として流れてきません、そこでこの項ではアトピーにおける温泉療法および温泉地の負の部分を書いてみたいと思います。

@前述のように、アトピーにおける温泉療法は長期の滞在が必要になるため 経済的な負担が極めて大きくかかることです。
ただでさえスキンケア、内服などにお金がかかるものを たかがアトピーごときで(あえて言わせていただきました、だってステロイドの使用をしなければ命に関わらないですもの)そこまでつぎ込む必要があるのかということですね。
それに、特に大人の場合 温泉地で症状が改善したからと言って 帰ってきて日常の社会生活に戻ったときにきれいな状態を維持できるとは限りません、むしろ療養中にメンタルのコンサルティングが行なわれていなければ、日常のストレスですぐに再発、さらに「良くなったのに」との想いがある分 落胆が大きく 心の平静が保てずよりアトピーが悪化することさえ考えられます。

アトピーの改善は、あくまで日常の社会生活を営みながらの改善でなければ意味がありません!

温泉地、クリーンルーム、閉じこもりの家の中、入院中などの特殊な状況下において改善しても全然意味がありません、人生の目的はアトピーを治すことではありません、アトピーが治った後 幸せになっていくことです。アトピーが治っても社会性が欠如していれば幸せにはなりません(莫大な資産があればなんとも言えませんが)、くれぐれも手段が目的と錯覚しないように注意して下さい。

A2点目は、温泉療養地には不特定多数のいろいろな病気を持った人達が集まると言う事である。

温泉地での他人との接触は、通常の生活での他人との接触に比べてずーと危険を伴う。
効果が高いと言われている温泉ほど自然を大切にしているために、衛生面において粗雑なように感じますがいかがでしょう、もちろん全てきちんと滅菌して清潔にしてある所もあるでしょう、しかし自然重視と人工的除菌環境とはなかなか相容れません、悲しいかな効果が高い所ほど より感染の危険性を持っているだろうということは、容易に想像できます。
さらに 効果の高いと言われる所程、重症患者も多ものです、感染性の疾患でなければ問題はないが、感染の可能性のあるものであれば、重症であればあるほど血中の菌の数が多く やはりよりリスキーになってきます。

さらにさらに、あなたはアトピーであるので皮膚は常に無防備の状態です、炎症があり体液が流れているようなこともあるでしょう、当然そこからの感染が考えられます(ウイルスなどは、口から入ってくるよりもずっと 傷口からの侵入の方が怖いものです)、周りの人も「湯あたり」などにより皮膚に炎症を伴っている人も多いであろうし、あなたのようにアトピーの改善のために訪れているかもしれません、そしてそのような人達が他の病気を抱えていないとは言いきれないのです。

たかが、アトピーの改善のために C型肝炎やエイズなどの感染のリスクにさらされる事は、大変悲しい事です。

アトピーの方が温泉にいかれる時は、少なくとも体液の滲出を伴なった急性期ではなく、乾燥を中心とした症状の固定化した時に行くことをおすすめします。

B3点目は、温泉地での療養は、対人関係や学業、職業などのストレスから解放されることで、アトピーの症状は改善されますが、ストレスに柔軟に対応するメンタリズムが育っていかないことです。

生きる事の困難さから切り離された状態では、様々な困難に対し乗り越えていけるような強い精神力は生まれません。
一つ一つの困難を受け入れながら、自分の心をどのようにコントロールすればそれらのストレスをかわしていくことができるのか、試行錯誤のなかで自分に合った心のもっていき方を獲得していくものなのです。
そのためのカウンセリングが私達の大きな役割となるわけですが。

成人のアトピーの場合、ストレスの感じ方一つで良くもなり悪くもなります、言いかえれば この考え方の獲得なしで成人型アトピーのコントロールはありえません、ここでも結局逃げていては、どうしようもないということになります。