●はたして、漢方薬でアトピー性皮膚炎は治るのか?

漢方薬の働きとは何かというと、からだに備わった各種の機能の調整である。冷え過ぎれば温め、のぼせていれば冷やし、乾燥していれば潤し、人が本来あるべき状態へ近づく様に調節するためのくすりである。

人のからだのバランスを整えることで、漢方は自然治癒力を高めて疾患を治して行きます。
アトピー性皮膚炎と言えども、そこに現れる症状、体調の変化などにより証を決め漢方薬を与える事で、自然治癒力は高まり 免疫力も賦活化してまいります、免疫力が高まりますと些細なアレルゲンに対する免疫応答も改善され、症状が沈静化してきます。
さらに、体調も良くなってくるので元気がでてきます、気が高まると内向しがちなメンタリティーが改善され外に向って発散されるようになりますので、内的エネルギーが蓄積されなくなりアトピー性皮膚炎は良くなって行きます。

さてさて、良いことずくめの漢方薬ではあるが、何も問題はないのか!

問題点はいろいろあります。
思い付く問題点をいくつか挙げるとすると以下のようなものがあるますよ。それらを全て考え合わせた上で、漢方薬の使用を検討する必要があるでしょう。

問題点 その1
★その人に適した漢方薬をチョイスするのに、正しい証を定めることが大変難しい。
さらにアトピー性皮膚炎の改善は長期に及ぶため、治療途中で証が変わったり、
治療重点部分が変わりさじ加減が必要になってくることもあるため、よほど漢方に対して専門的に勉強をしていないと難しいと言われている。
(ちなみに私は、残念ながら特に漢方の専門知識に造詣が深いとは言いきれず、漢方によるアトピー性皮膚炎の改善実績を具体的に持ち合わせてはいませんが、当店でアトピー性皮膚炎の克服を行っている人達のなかには、当店へみえられる前にまた当店の指導中に漢方薬を当店以外から購入し、服用された方が何人かいます、ほとんどの場合 証の間違いから悪化させてしまっています。中には3ヶ月の 間違った漢方薬の服用の為に、治るまで6ヶ月余分にかかってしまった人もいます。なぜアトピー性皮膚炎における漢方療法に間違いが多いのか?薄学の私が思うに、アトピー性皮膚炎の症状は多くの場合熱性である為、その熱を冷ますことに主眼を置き過ぎる、だから消風散・温清飲といった漢方薬がよく出てくる、しかしこれらの漢方薬はどうもからだ全体を 特に胃腸を冷やす様で、回復力が大きく後退することも多い。もし漢方薬を選ぶのであれば、補中益気湯や黄耆建中湯などのような胃腸を温め気を養うような漢方薬の方がよく効くように感じます。このことから分かることは、アトピー性皮膚炎の症状は押さえてはダメだ!ということ、炎症は治ろうとして出ているのである。)

      その2
★中国2000年の歴史の中で、試行錯誤のうえに体系づけられたものが漢方である。
つまり経験から生まれた薬である。

であるならば、その原因の多くが文明の発達から生まれたと思われる、現代病の代表格アトピー性皮膚炎に対しはたして対応できるのかということである。
原因が違っても 過去と同じバランスのとり方でいいのか悪いのか?ひょっとしたら全然効かないかもしれないなどなど まだまだ分からないことだらけであること。

      その3
★じつはこれが1番大きな問題点ではあるが、
それは、仮に漢方薬でよくなったとしても 決して治ってはいないということだ。


ここで少し病気が治るとはどういうことか説明しなくてはいけない。
例えば、病原菌で起こる病気に対しては、菌がいなくなれば完治である。(ウイルスとか耐性菌の出現でなかなか菌を駆逐することがむつかしくなっているけどね)
怪我とかやけど、骨折などは、損傷した部位が再生されれば完治である。

ところが糖尿病などの生活習慣病や歯槽膿漏・虫歯・にきび・アトピー性皮膚炎などの生活習慣病の側面を持つ病気に対してはどの状態をもって完治といえるのか そもそもこのような病気に対して完治などということがありうるのか、それが問題である。

結論から言えば、これらの疾患に完治などありえないのである。もしあるとしても常に生活面での条件付で健康体にコントロールされている状態を完治としているだけなのである。

例えば糖尿病における食事制限や運動、虫歯や歯槽膿漏に対しての朝晩のブラッシング、にきびに対しての洗顔や甘いもの脂肪の多いものの摂取制限など、逆にそれらの生活上の制限を怠れば直に発病してしまいます。問題はどの程度の条件までをもってしてコントロールすることができたものを治ったとするのかということである。
アトピー性皮膚炎で言えば、クリーンルームの中で生活して除去食の食事をし、何も仕事などをしなくて社会との交わりのない状態でアトピー性皮膚炎の症状が無くなったとしたら これは治ったことなのか?
「そんなバカな」である。そんな社会と切り離されたところで良くなっても意味が無いし、過大な負担を強いられた状態では やはり意味がないでしょう。ただし 命に関わるような病気にたいしては、その限りではないと思うが。

では、どの程度までの生活上の条件をもってしてコントロールできればアトピー性皮膚炎を治ったとみなす事が出きるのか、人によって多少は認識が違ってくるでしょうが、私としては、
@毎日お風呂で約10分程度はぬるめのお湯で入浴する 
A過食を慎み、バランスの良い食事をこころがけ 外食を出きる限り控える
Bプラス思考に勤め、くよくよしない
C昼は肌を紫外線より守り、夜それらの保護剤をキチンと落とし清潔にする
Dお部屋の掃除をこまめに行い、室内でペットを飼わない
どうです、この程度の生活上の負担でアトピー性皮膚炎の症状が出ないのであれば、治ったと言っても良いのではないかと思っています。


ところが、漢方薬を続けることによって、漢方薬の力でからだのバランスが整いアトピー性皮膚炎の症状が治まったとき、これは治っているのだろうか?
からだのバランスは本来 自らの力で調整されて行かなくてはならない、それが外からの力が加わる事で調整された場合、自らの力で調整する必要性がなくなり、その機能が後退する危険性を持ってはいないだろうか。
バランスを調整する機能が弱くなれば、さらに漢方薬の力を借りなくてはならず、ずーと漢方薬を続けていかなくてはならなくなる。
このような状態になった時、たとえアトピーの症状が出ていなくとも私は治ったとは思わない、なぜなら漢方薬と言えども薬の継続は 容認できる生活上の条件の枠を超えていると考えるからだ!

いやいや、漢方薬を続けていると体質が改善され、アトピー性皮膚炎の症状が出なくなるので大丈夫 と思っている人も多いと思います。
しかし、漢方薬で体質は変わりません(「体質改善は可能なのか?」の項目に詳しく説明)。
然るに、良くなる為には自分自信で鍛えなくてはいけません、養生によって抵抗力をつけていく必要があるのです。
その為には、負荷が多いほうがいいのです、その積み重ねの上ではじめて、上で述べた程度の条件でアトピー性皮膚炎の症状を出さない様にする抵抗力がつくのである。

(但し、少しでも早く症状を静めてから養生を重ねて行こうとお考えの方、アトピー性皮膚炎に対し新薬のお薬をなにがしら服用されている方が その副作用を緩和するためにとか新薬の代替としての効果を期待して服用されることに対しては、非常に有効であると思っています。)

当店での経験においても、基本的には漢方薬なしで良好な状態に持って行く事ができています。
そのため、当店ではできる限り経済的な負担を軽くするため、あえて漢方薬の服用を奨めてはいません。
ただし、アトピー性皮膚炎克服中に出てくる不眠、いらいらなどの自律神経のトラブルや程度のひどい疲労感に対して一時的に用いる事はあります。