神々の集う出雲大社へ ( 後編 )
ゆうべはサウナや悪書で満足したせいか、ぐっすりと眠ることが出来たので朝の目覚めは快調だった。
いつもの俺の朝の目覚めはすこぶる悪い。なかなか布団から起き上がれず、「あーっ、くそったれぇ。朝なんてこの世からなくなればええわ !」と悪態をついた後、「は〜。」とため息をついて起き上がる。
朝に強い人間は、反対に「すぅ〜。」と息を吸い込む。顔は満足げに輝いている。俺なんか、こんなやつを見ると「アホかいな。」なんて思ってしまう。
今日の目覚めで少しこんなやつらの気持ちがわかったような気もするが、基本的にはやっぱり「アホかいな。」と思ってしまうんだなぁ、これが。
なんか、朝に強い人間ってバイタリティーだけは、はた迷惑なぐらいもってるし、くだらないダジャレを臆面もなく言うし、それがウケなくても気にもかけないし。
俺はやっぱり朝に弱い今の自分の方が好きだ。
支度を整えてホテルを出ると、国道9号線沿いのコンビニに入った。ここで朝飯を調達しなければならない。
このコンビニに来る途中には、「献上そぱ」というそば屋を発見した。献上そばは、俺のこのサイトにリンクを張ってくれているFox-Tailさんのホームページに紹介されているそば屋で、一度行ってみたいと思っていた所だ。
しかし、残念ながら朝の8時にはまだ開店してない。今度来たときには、ぜひここのそばを食ってみたいと思う。( Fox-Tailさんのサイトに紹介されているのは松江市の献上そば。ここ出雲の献上そばは、姉妹店であるに違いない。)
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献上そば出雲店。次はぜひ食べてみたい。
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コンビニでコーヒー牛乳とパンを買い、斐伊川のたもとに下りるとそいつを貪り食った。
俺は腹が減ると、手足が軽い震えを始める変なくせがある。ホテルを出るときには「ああ、腹が減ったなぁ。」ぐらいだったが、斐伊川に着くころには手足が震え始めていたので、文字通り「貪り食った」のだ。
おかげで大好きなコーヒー牛乳と菓子パンの味がわからなかったじゃないか、もったいない。
朝飯を食い終わり、国道九号線を東に向かう。昨日行くことが出来なかった荒神谷遺跡公園へ行くためだ。
こういう有名な所は、たいがい看板などが出ているのに行けどもいけどもそんなものは見つからない。まだ先なのか。
ついに出雲空港近くの道の駅まできてしまった。
道の駅で観光案内の地図を見ると、荒神谷はとっくに通り過ぎてしまっているじゃないか、「おかしい、案内板も道路標識も出てなかったぞ。」もう一度地図で位置を確かめる。やはり通り過ぎてしまっている。
道路標識を見逃したに違いない。仕方なく元来た道を引き返すことにした。
かなり引き返したのに看板はない。また地図を開いてみる。なっ、なんと、今度は引き返し過ぎてるじゃないの
!
このとき案内表示も、看板の類も、最初から設置してないことに初めて気が付いた。
このときばかりは頭に血が上った。観光に力を入れているのをうたい文句にしている島根県なのに、日本でも有数の重要な遺跡へ行くための表示が全くないのだ。
「これで観光客が呼べるか、ばかたれが。」 悪態をつくと、地図を便りに国道から南に向けて進む。
小学校の近くを通り過ぎると、ほんっとに小さな矢印看板が畑の脇に立ててあり、「荒神谷遺跡公園まで〇〇Km」と書いてあるのを発見、こんな小さな看板が、しかも国道沿いではなくて農道の脇に・・・・・もう、怒る気にもなれない。
こんなことで一時間以上損をして荒神谷へとペダルをこいだ。
荒神谷へ着くまでにも小さな古墳が数期ある。あたりの景色は、国道沿いとちがってのどかな田園風景になってきた。これで怒りも少しずつ収まってきた。
国道から農道に入って約10分、ようやく荒神谷遺跡公園に着いた。ほんとなら一時間以上前に着いているはずなのに。
荒神谷遺跡公園は、さすがに公園だけあって駐車場、芝生、キャンプサイトなどが整備されている。
鳥取県にも弥生時代の有名な遺跡がある。妻木・晩田(むき・ばんだ)遺跡というが、ここはどちらかというと公園ではなく、発掘調査現場を一般の人にも見てもらおうというコンセプトが色濃く出ている。どちらが良いとは言いがたいが、俺は妻木・晩田遺跡のほうが好きなスタイルだといえる。
駐車場に自転車を置くと、まず最初にハスの花がびっしりと水面を埋め尽くす池に向かう。ここの池のハスの花は、「古代ハス」といって古墳時代に咲いていたとても珍しいハスの花なのだ。そう、「猛暑の出雲路」で風土記の丘公園にあるハス池を紹介したが、そこのハスと同じ古代ハスなのである。しかし、ここの池のほうが何十倍も広くハスの花も腐るぐらいたくさん咲いていた。
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ハス池。古代のハスが所狭しと咲いている
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この斜面から銅剣が発見されたのだ
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肝心の大量の銅剣が発見された山の斜面は、ハス池のすぐ先にある丘の中央で、何組かのグループが俺の先を歩いて向かっている。
俺のすぐ先を歩いている一行は、関西弁のオバハン二人と、無口な親父の三人組だった。とにかくこのオバハン二人がすさまじい。しゃべるしゃべる、あたり一面に鳴り響くような大きな関西弁で周囲を圧倒する。
斜面に造られた細道をこの三人組の後を歩いていたが、ある距離をおいて近づかないようにした。このおばハンに近づいていくと、桜島大根のような足の間からみたくもないパンツが見えそうになるのである。ううっ、御免こうむります。
丘の斜面に、発掘された当時のレプリカが作ってあった。よくこんな山の中から発見したものだ。
オバハン軍団の見えパンを巧みにかわしながら、山を一週回り、再び蓮池まで戻ってきた。
かなり気温が高く、直射日光も厳しいので顔に日焼け止めクリームを塗っているが、そいつが汗とともに目に入ってとてもしみる。近くの水道で顔を洗い、新しく日焼け止めクリームを塗った。日焼けを防ぐ何か良い方法はクリーム以外に無いもんだろうか、友達のカツは、タイガーマスクの面をつければ良いと言っていたが、それはどう考えても現実的じゃない。何かいい方法を知っている人がいたら教えていただきたい。
公園の入り口近くに土産物屋兼資料室があるので、入ってみることにした。中はエアコンがかかっていてとても涼しい。
みやげ物には興味が無いので、展示してある発掘品を見て回った。ここにはたくさんの銅剣、銅鐸、銅矛などが展示してある。レプリカもあるが、ほとんどが本物だ。
今まで日本全国で発掘された銅剣の数の何十倍もの銅剣が、ここ荒神谷で発見された。歴史のロマンを感じさせるねぇ。
写真は禁止のようだが、さっきのオバハンのパワーが俺に乗り移ったのか、何の躊躇もなしにバシャバシャと写真を写していった。みなさんもこういう良いことはまねをしよう。エゴだとは思ってはいけない、貴重な記録なのだ。要は見つからなきゃいいのよ、見つからなきゃ。(抗議のメールは一切受け付けん
!)
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近くにある加茂岩倉遺跡から出た銅鐸
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これがここで発見された銅剣
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見るものを見たし、(パンツではない)荒神谷遺跡公園を後にして、一路出雲空港方面へ。国道九号線は来るときに通ったし、交通量が多くてうっとうしいので平田方面から宍道湖湖北線で家路につくことにした。
広い畑の中の交通量が少ない道路を走っていると、前から俺と同じように自転車に乗ってやってくるあんちゃんがいる。すれ違いざまにお互い「こんちはー」とあいさつをした。自転車でふらふら散歩するのが好きなもの同士、初対面でも屈託が無い。たちまち嬉しい気分になり、心なしかペダルも軽く感じた。
ここ島根県には、時々何の脈絡も無い場所に不思議なモニュメントが建っている。畑のど真ん中の道路にいきなりパックマンそっくりなモニュメントが現れ出でたのだ。
一体何のモニュメントなのか? 近づいて文字盤を見ると、島根県は自然が美しいとか何とか意味がわからないことが書いてある。しかも、書いた人は島根県知事だそうだ。よけい意味がわからん。何で突然こんなとこで自然が美しいというモニュメントが必要なんだ。しかも形がパックマン。?????
俺は意味が無いのに存在している物というのは大好きなのだが、こいつばっかりは意味がわからんすぎる。
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友人ミータンならよだれを流す女性入浴像
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どう見てもパックマン。 ?意味がわからん
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湖北線に出て湖沿いの中華レストランでラーメンの昼ご飯を食った後、再び松江方面に走り出す。
ここ湖北線は、国道九号線に比べて自動車の数は少ない。しかし、道幅が狭い関係上結構危険を伴うのだ。俺はここの道を走るとき、道路に沿って点在する村の中の旧道を走る。静かな上に安全に走ることが出来るのだ。
村の終わりになるとまた湖北線にもどり、次の村の入り口からまた村の旧道を通って自動車からの危険をやり過ごす。
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宍道湖は波一つ立っていない
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村の中の旧道。こういう静けさがとてもいい
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松江につくと、まだ一度も行ったことの無い月照寺に行くことにした。ここはアジサイの花が有名で、この時期まだ咲いているかもしれない。それと、小泉八雲が「とっても不気味」とビビッたらしい亀の石造がある。
だんだん尻が痛くなってきたのをガマンして月照寺に向かう。寺に着くと観光バスがやまほどいて、じーさんばーさんが寺の入り口で長蛇の列を作っている。
俺は列に並ぶという行為がチョーいやで、しかも花にはさほど興味の無い人間なのですかさず引き返して家路をいそぐ。
大根島を通ってようやく家に着いたとき、えらい尻が痛いと思ったらサドルにすれて真っ赤になっていた。風呂に入るのはSM行為に等しい、シャワーにしてケツは手のひらでそっと洗った。この次からはケツを守るサポーターパットの着いた下着を購入して散歩に望もうと赤くなったケツに誓ったのだった。
島根県の観光課の人たち、看板ぐらいつけようよ。一時間もよけいに自転車にのったら、尻の皮が赤くなっちまったい。