ずっこけ徒歩々散歩録
ずっこけ徒歩々散歩録第一弾、「オゲレツ道中沖縄 前編」トホホな旅が今始まる !
会社内のお馬鹿メンバーが旅行の会を結成して早二年、ようやく旅費もたまり沖縄旅行に突入する事となった。
なぜ沖縄なのか?メンバーの中にミータンという男がいる。ミータンはこれまで飛行機に乗った事が無い。二年間貯めた旅費は絶対に飛行機代として使いたいとの熱烈な希望により、沖縄、北海道、韓国という三つの候補地の名が上がった。
ミータンの「飛行機に乗る」という野望は半端なものではなかった。戯れに「近くの湯村温泉にしようや。」と言うと、涙を流さんばかりに激怒し、「親、親類中、友達全員に飛行機旅行をすると言ってあるのにーっ、キョエーッ!」と雄たけびをあげ、俺の急所をわしずかみにして絞り上げると言う暴挙にでたのであった。
さて、三つの候補地のうちどれにするかと話し合いをしたが、パスポートの問題や夏という雰囲気があまり無いという理由で韓国、北海道は候補から外れた。
俺自身、沖縄という土地に恋愛感情を持っているので文句無しに、沖縄旅行決定。
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飛行機初体験 ミータン
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まずはメンバーをご紹介しよう。海賊団総帥はちまんタローの他に、副団長ミチ、K2、ミータン、アフリカン、の四名。すでに「はちまんタローの独り言」に登場しているのでご存知だろう。新メンバーとして、おかまバー同好会のタッツミー、チョンガーのマッチ、仁義無き男カゲリン、クレヨンしんちゃんのパパにそっくりなヒゲオという総勢九人。怪しいことこの上ない、そしてミータン以外は全員デブというむさくるしさ !ええかげんにせぇ、沖縄がけがれるぞ。
さて、出発は岡山空港午前九時三十分。境港から車で二時間ちょっとの距離なので、午前五時、ヒゲオとミチの自家用車に便乗して米子道という高速道路をひた走った。
しかし、ここで最初の悪夢が襲いかかる。
ミチの車のエアコンから熱風が吹き出す。「おいミチ、冗談はやめれ。この暑いのにサウナ大会のつもりか。」ミチの顔を見ると、暑いのにもかかわらず青く冷えびえとしている。「どげしただ?」
ミチの顔色は緊急事態を物語っている。「水温計を見れ、異常に温度があがっとるぞ !」驚いて水温計を覗き込むと、確かに異常値をさしている。
「やばいぞ !」顔色を失った車内のメンバーは、水温計の針をふうふう口で吹いたり、前の座席をリズムをつけて押したり、「バック、バック。」と意味の分らんことを叫んだりの体たらくで、全員とち狂ってパニクッている。
次のパーキングで車を止め、少し休憩を取ると車は正常な状態に戻っていた。どうやらサーモスタットが働かなくなっていたようだ。岡山空港まで何とかもたせて到着したときは、ホッと胸をなでおろすメンバーであった。
空港の駐車場脇で立ちションをし、ターミナルビルにむかうシャトルバスを待っていると、一人駆け出す人間がいる。ミータンだ、これから人生初のヒコーキ体験が待っているとあって、バスを待ちきれずに駆け出したのだ。しかたなく全員が一番遠い第四駐車場からターミナルビルまで駆け足する事となった。
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立ちションはいけません K2
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おなじく ! ヒゲオ
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空港の1階ロビーで荷物のレントゲン検査を受け、検査済みのシールをカバンに張ってもらってカウンターに預ける。しかし、再びここでアクシデント発生。シールを張ってもらったはずのミータンのカバンにシールが無いのだ。
検査官がやってきて、「シールが張ってない、あやしい !」と言い出した。ミータンはあせってシドロモドロになる。もう一度検査を受ければいいじゃないか、ということになりレントゲン装置に向かうミータンの尻に検査済みのシールがペッタリと。「おめえはケツを検査したのか。」と周囲に笑われ、涙を浮かべて反論するミータンであった。
そして、出発ゲート手前の持ち物検査。全員が無事ゲートを通り抜ける中、タッツミーだけが何度もブザーに警告され、Uターンを繰り返した。
女性検査官が、手鏡のような丸い手持ち検査装置で体中を調べると、下半身のあの部分で機械が反応する。「タッチして検査を続けます。」と言われ、タッツミーは何を勘違いしたのか満面の笑みを浮かべ、下半身を グッ と女性検査官の方に突き出す始末。
結局はポケットに入れたライターが原因だった。下品に馬鹿笑いをするメンバーを、周囲の人は冷ややかに見つめていた。
飛行機の旅は快適で、窓側に席を取り窓にかじりついて景色を見ていたミータンを含め、全員満足して那覇空港に降り立った。「今日の運転手は、けっこう上手かったな。」というカゲリン。運転手じゃなくて、操縦士だと思うのだが。
空港で、レンタカー屋を待っていると、タッツミーが腹痛を訴えだした。トイレに駆け込むタッツミー。しばらくしてレンタカー屋が迎えに来たがタッツミーは悠然と便所に座り込んで力んでいる。仕方がないので俺一人残ってタッツミーを待つ事にした。
数分後、すっきりとした顔で鼻歌を歌いながら歩みを進めるタッツミーを発見、「もう迎えが来とるぞ !」と言うと慌てて走り出し、マイクロバスに乗り込んだときはカゲリンの罵声を浴びる羽目になってしまった。この先どうなるのだろう、と思うと他人の失敗を喜ぶ自分の中の悪魔が、満面の笑みを浮かべるのであった。
しかし沖縄は暑い、異常とも思える暑さだ。天気予報は見事に外れ雨のはずが「これでもかっ !」というほどのピーカン天気。ヒゲオのヒゲ面に汗が流れているし、でぶのマッチも口で息をしている。けろっとしているのは、故郷と同じ気温のアフリカンだけなのだ。
ミチがレンタカーの手続きをしている間に、長ズボンを脱いで半ズボンに履き替える事にした。アロハを脱ぎTシャツ一枚になって、ズボンを脱ぎパンツ丸出しになった姿は、我ながらカッチョ悪いものがある。手早く半ズボンに履き替え、靴もビーチサンダルに替えたら生き返るようだ。
ミチはレンタカーの手続きに手間取って苦戦している。免許証を見せてくださいと言われ、平然とポケットティッシュを提示して慌てている姿はさすがに笑いを通り越して、哀愁を帯びているのであった。
まず最初に、昼飯を食うために那覇の北にあるアメリカンビレッジなる所に向かう。迷いながらもそれらしき所に到着。 とにかく腹が減っているので、どこでもいいからレストランに入ろうということになり、目の前にあるバイキング店に入る事に決まった。
境港では食いしん坊の事を「ずいぼ」という。今日のメンバーの中で、ずいぼで無い人間は一人もいない。盆を持って料理の前に行くと、手当たり次第ガガーッと皿に盛り、自分の席に座り込む。しかし、これで終わりではないのだ。さらにもう一回別の盆を持ってきて、それに料理を目いっぱい盛り込む。そしてようやく「いただきまーす。」となるのだ。
上品な店の中で、下品な話をしながらすさまじい勢いで食い物を平らげていく。特に、K2がすごい。チャーハンも食いたいし、カレーも食いたい。そこでチャーハンにカレーをぶっ掛けて口の中へ流し込む。「ゆっくり食えや。」というと、「食う?カレーは飲み物だ。」と放言し、ゾロゾロゾローッという音と共に飲み込んでいく。
ようやく腹が落ち着いたと思ったら、「げふーっ」と音を立てるヤツや、デザートのケーキやアイスを全種類制覇するヤツ、下ネタを連発するヤツなど、団長として恥ずかしい限りの傍若無人さ。頭に来たから ブーッと屁をこいてやったらさすがに連中もおとなしくなった。
せっかく沖縄まで来て、屁をこいて終わりでは話にならない。今日のメインエベント、美ら海水族館(ちゅらいみ すいぞくかん)に行く事に決定した。美ら海水族館は、沖縄海洋博公園の中にある施設だった。広大な公園の中にはイルカがショーをするプールや、カップルが愛を語り合うであろうふざけた雰囲気のビーチハウスがある。その中で、美ら海水族館は目玉商品なのだろう、一番金の掛かった施設だった。
とにかく暑いので、冷房の効いた館内に滑り込むように入館した。レンタカーが三台で、離れ離れになっていたため三組に分かれ、ミチとカゲリンと俺の三人がいっしょに行動している。ミチとカゲリンは、魚や海洋生物にさほど興味が無いらしく、無言でさっさと先に進む。俺は水族館が大好きで、魚を見ては嬉しそうに笑う顔を見て、カゲリンが不思議そうにこっちを見ている。
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これがナポレオンフィッシュだ !
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たたずむ 仁義無きカゲリン
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とにかく本土の水族館とちがい、カラフルな魚達の豊富なここは、新鮮な感じがして満足だった。
水族館を出ると、イルカのショーをやっているプールにむかう。あいにくこの日の最終プログラムが終了して、ショーを見る事が出来なかった。
携帯で連絡を取り合い、他のメンバーと合流した後、日も陰ってきたので今日の宿「かりゆしビーチリゾートホテル」に向かう事に決定した。みんなの口からは、「あちー」とか、「水族館なんてつまらん」とか、下ネタしか出てこない。なんと貧しい人生を送る連中か
!俺のように何にでも興味を持って探求するインテリさ加減が連中にも欲しいところである。
いつも一人でチャリンコ散歩している俺にとって、集団行動がこんなにも難しく下品なものだとは思わなかったが、その中にどっぷり漬かり切って中心的下品隊員になりつつある自分に、ある意味集団行動にも向いている男(下品な言動が許されるのなら)ではないかと、自分の新しい一面を発見したのだった。
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びっくりシーサーと、はちまんタロー
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日も傾き、再びレンタカーに乗り込んで「かりゆしビーチホテル」へ向かう。水族館からそんなに遠く離れていない。
すぐに山の上の巨大なリゾートホテルに到着し、ミチがチェックインの手続きをしている間に、ロビーを見渡す。明日参加する予定の体験ダイビングコーナーが目に入った。沖縄旅行で、俺が一番入れ込んでいるイベントだ。言わばメインエベントなのだ。「なになに、参加受付は前日の午後五時までです。」なに
!ちょっと待て、今は六時だぞ。そして横の黒板には「明日の天気、雷雨。波高2〜2.5メートル。風は10〜15メートル !」 いくら何でもこれではダイビングどころの騒ぎではない、明日のダイビングは諦めて、観光とショッピングに切り替える事にしたが、メインエベントがつぶれた事にがっくりと肩を落とすはちまんタローであった。
部屋に入り外を見ると、窓の下にプールがある。水着のお姉さんも数人泳いでいる。体験ダイビングに供え、買ったばかりの水中カメラをぶら下げてさっそくミチと二人でプールに向かった。体験ダイビングが出来なくなって、出番無しの水中カメラにとって、願っても無いデビュー戦だろう。
きれいなサンセットを見ながら、プールで泳ぐ。なんとオキナワンチックな夕暮れだろう。水中で写真を写したり、泳いだりしている姿を部屋の窓から発見したK2が、海パン姿でさっそく下りて来た。すぐにプールに入ってくるのかと思ったら、あっちこっち歩き回ったあげく帰ろうとする。「入らんのか。」と言うと、「デブの体を見られるのがいやだ。」なんて言いやがる。しかも俺とミチにむかって、「良くその体型で泳ごうと思うな、しかもすごく怪しいぞ。」などと言いくさる。憤慨する二人を横目に、近くを泳ぐ水着ねーちゃんに向かって「この二人に近寄らん方がいいよ、襲われるけん。」と、よけいな事を言って去ってしまった。そのおかげで、ミチはともかく俺までもが水着ねーちゃんに白い目で見られる事になってしまった。これではいくら俺がイケメンでもねーちゃんと仲良くなる事は無理だ。まったくよけーな事を言いやがる。仕方が無いのでそのまま部屋へ帰るミチと俺であった。
夕食は全員そろって、洋食のコース料理を食うことにした。ホテル内にある静かで、軽いジャズの流れるいい雰囲気のイタリアンレストランだ。薄暗い店内には、テーブルのキャンドルに照らされた幸せそうなカップルが会話を楽しんでいる。
そこにゾロゾロとサンダル履きのデブが9人も乗り込んできたのだからウェイターも唖然としている。各自コース料理を頼み、膝の上にナフキンを掛けて料理を待つ。いつも下品にしゃべっている連中の顔に、緊張が走っている。テーブルに手際よくフォークやスプーンが並べられたのが原因だ。なんと、大きいのや短いのや色々な種類のものが並べてあるのだ。「こんなにたくさんのフォークやナイフをなんに使うんだ?作法なんてわからんぞ。」みんなの顔にそう書いてある。そしてステーキの焼き具合を尋ねられると、みんな一様に目を見開いて黙り込んでしまった。幸いアフリカンが「ミディアムで。」と注文するのを皮切りに、全員が「おれも。」「おれもそれで。」と口を開き始めた。以前ミータンは、地元のレストランで同じように焼き具合を尋ねられ、「えしこに、焼いてごっさい。」( いい具合に焼いてね。)と店員を困らせる発言をした事がある。その経験から何も学んでいないミータンである。
その緊張も長くは続かなかった。全員がビールで乾杯をしたのを皮切りに、いつものようにオゲレツ話が炸裂し始めた。
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高級料理を前にオゲレツ話炸裂 !
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ミータンTシャツとエビとはちまんタロー
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しかし、ウェイターやウェイトレスが困ったのはオゲレツ話ではない。料理を持ってくるタイミングがむづかしいのだ。普通こういうレストランでは、ゆっくりと食事をしながら会話を楽しむ。しかしこの一団ときたら、「腹減っているのにもったいぶるな、どんどん持ってきてくれ。」と言わんばかりにガツガツ喰らいつき、ウェイターに目で催促するのだ。ウェイターやウェイトレスは困った顔をしながら、料理を持っていくタイミングを相談している。しかも、下品な話が後から入ってきた客に聞こえないよう、テーブルを離すと言う気の使いよう。その中に一人だけ下品な話が好きだと思われるウェイトレスがいて、いつもニヤニヤしながら俺たちのテーブルから離れようとしなかった。
しかし、かなりリーズナブルな値段で味もすごくいい。イセエビなどは絶品だった。本来なら、彼女と訪れたい場所である。
全員満足して会計をする。なんとレジ前に一人づつ並んで「おれ、このコースと生ビール二杯。」「おれ、伊勢エビとグラスワイン。」などと、一人づつ支払いをする一行であった。
この後俺とタッツミー、カゲリン、ヒゲオの四人はバーでカクテルを飲み、部屋に帰った。
この夜、ミチの凄まじいいびきで一睡も出来なかった。翌朝「一睡もしとらんぞ。」と言うと、ミチとカゲリンは「おめえ、高いびきで寝とったぞ。」と言う。たしかに起きていたのに妙に体はスッキリしている。 本当に不思議な沖縄の1日目であった。
過激な沖縄の日々は、まだまだ続く。続編をこうご期待 !