真夏のキャンプ緑水湖 前編

俺は結構アウトドア好きである。小学生のころはボーイスカウトに入っていて、あっちこっちでキャンプをしたりアウトドアクッキングで舌鼓を打ったりしていた。
だから、テントの張り方も古いタイプから今のドーム型までばっちりマスターしている。飯も飯盒で炊くことができるし、風呂なんか入らなくても2,3日なら何とかガマンできる。(毛の部分だけは、洗うけど。)
でも一つだけボーイスカウト時代から苦手なことがある。団体生活、団体行動、規律、規則、目上に対する礼儀・・・・・などである。考えただけでうっとうしいことこの上ない。何も、これは俺だけに限ったことじゃなくて、ボーイスカウトに入団している者のほとんどが同意見だったのだ。
俺たちは、テントを張ったり外で飯を食ったりするのが楽しくてボーイスカウトに入ったのだが、指導者たちは、上記のうっとうしいことを健全なる青少年に指導するためボーイスカウトを組織したのだ。
そのため外遊びを主眼に置いていたガキどもには、相当てこずっていたようだった。
断っておくが、ガキというものは健全でもなければ、心が美しい天使でもない。元ガキだった俺が言うのだから間違いない。
そういえば、悪書を覚えたのも、この頃だった。キャンプサイトに大量の悪書が捨ててあり、みんなで廻し読みしたのが最初だった。まさに、青少年どころか、性少年と言ったほうがふさわしいほどのエロガキだったのだ。

大人になってからも何度かキャンプをしたけど、団体生活うんぬんがいやなので、もっぱら1人で野山に分け入る。
このサイトを見てもらえば分かるとおり、自転車散歩で利用する宿泊施設はビジネスホテルが一番多い。最近は、横着病がひどくてテントを張ることさえ億劫になってきているのが原因だ。
でも、たまにはテントで一晩明かしてみたい。もともとアウトドアは大好きなのだ。
今回は適当に近くて、キャンプサイトも豊富にありそうな緑水湖の湖畔にテントを張る、アウトドアツーリングに決定。

ずっこけ散歩禄に二度目の登場緑水湖
キャンプサイトがたくさんありそうな湖畔

季節は夏、この時期になると俺は元気がなくなってくる。気分的には祭りやビアガーデンでもりあがるのだが、体の方がサッパリ動かない。
寒い冬は、吹雪が吹き荒れているときでも、結構なんとも思わないのだが、暑さだけは勘弁である。で、あるからして、夏の暑い時期には冷房の効いているビジネスホテルを選んでしまうのである。
ところが、友達のミチの実家がある隠岐の島に遊びに行くと、夜になればとても涼しくて冷房よりも気持ちがいいのだ。
それを思うと、緑水湖は山の中にあり、しかも湖畔のイメージから行くとそうとう涼しそうだ。 今回のキャンプは気持ちよく過ごせそうな予感が♪

朝起きて空を見る。天気予報どうり晴れている。緑水湖の方を見る。くっ雲がかかっているじゃあないの!
でもまあ、天気予報は晴れだと言っていることだし、気楽に考えて雨具を持たずにいざ出発。
それにしても今回の愛車のペダルは重いこと重いこと、ふだんはリュック一つ背負って走っているのに、こんかいはフロント、リアのサイドバックに炊事道具や食料がいっぱい。荷台にはテントや寝袋、フロントバックにはカメラやラジオまで・・・・・「キャーッ!」あまりの荷物に愛車ランちゃんの悲鳴が道路に空しく溶けていく。

「かんべんしてーっ」ランちゃんの悲鳴が
めずらしい千手観音様

いつものように境外浜線を通り、米子駅横の高架を走る。
いつもなら何も積んでいない愛車なので鼻歌で渡れるのだが、今回はかなりの荷物を積み込んでいる。
ううっ、重い。ここの高架は歩道や路側帯がないので普段でも危ない所なんだが、今回はさらに重い荷物を積み込んでハンドルがふらつく。
何度も書くようだが、日本の道路は車椅子と自転車にとても厳しい。先進国だ、技術大国だと言ってもしょせんこの程度の体たらく、こんな事じゃいつまで経ってもドイツやフランスには追いつけない。そろそろ自転車野郎が手をたづさえてアクションを起こす時期が来たのかもしれない。

駅裏から川を渡ると、国道180号線に入って西伯町方面に進む。
ここの道路は、曜日や時間帯によってはがら空きの状態になるのだ。そして、今日という日が幸運にもそのがら空きの日なのだった。
自転車通行可能の歩道があるので、米子駅横の高架みたいに危険な目にあうことはないのだが、やはり車が混んでいるより少ない方が気分がいいので、こんな日はすごく得した気分になってしまう。
道の途中には千手観音様の石像が建ててある。お地蔵様はよくあちこちで見かけるが、千手観音様ははじめて見た。
ただ何となくいい事があればいいなと言う安易な気持ちで、この観音様に手を合わせた。俺は他の人と違って、何となく特別な存在なので、(何が特別なのかよく解らんが、昔からそう思っていた。)観音様にも声が聞き届けられるだろうと、虫のいいことを考えながら先を進む。たぶん俺の前世は王様か征夷大将軍だったのだろう。
そういう話をすると、友人のミヤは強く否定するのだ。何の根拠があって否定するのかサッパリ解らない。

車のいない国道180号線
川土手のとても走りやすい小道

国道に沿って法勝寺川という川が流れている。その川土手が、ちょうど自転車道のようにきれいに舗装された小道が続いている。
国道を走るよりはるかに気持ちがいいのでいつもこの土手道を走っている。今回も当然この小道を行くことにした。
それにしても空が曇り始めてきた。北の方を見ると、なんだか雨が降っているようだ。
「天気予報では晴れだったから、これから先も雨なんか降らない。何せ、人工衛星やらコンピューターやらで予報を立てているんだから間違いない! 」
勝手に決め付けて先に進んだが、かなり雲行きが怪しくなってきた。今日は雨具をもってきていない。やばいぞ! そう思ったが後の祭りだ。先に進むしかない。
天気のことは無視して昼飯を食うことにした。土手に愛車を止めて川べりでラーメンを作って食った。
いつものコンビニ弁当と違って、たかがインスタントラーメンでもうまく感じる。
このラーメンにはジャガイモのぶった切りが入れてある。こいつがまた、なんともウマイ。いつもはチキンラーメンが大好きで、冷飯とチキンラーメンのゴールデンコンビをススルのだけど、最近はサッポロ一番みそラーメンにジャガイモのぶった切りを突っ込んで煮込んだ、ジャガミソラーメンに凝っているのだ。コーンとバターが入っていれば、なおよろしい。
世の中には高級な料理がゴマンとあり、料理の評論家なんかが「まったり」とか「すっきり」とかワカランことをテレビでしゃべっている。でも、ほんとに高級料理が「無性に食いたい!」と思うときなんか一度もないんだけどなぁ。
俺がたまに「無性に食いたい!」とおもうものは、インスタントラーメン、カツ丼、マヨネーズご飯なんかで、何とかのムニエルなんかじゃない。はっきり言って世の中から高級料理がなくなるよりも、玉子かけご飯がなくなるほうが「かなわん。」のである。

ジャガミソラーメン まいぞ(美味いぞ)

小雨の土手道

昼飯を食い、土手道を走っているとき何だか頬にポツリ、と当るものがある。
「雨だ!」天気予報は晴れだと言っていたじゃないか。それなのに雨がポツリ、ポツリと降ってくる。
土手道には雨宿りするような所は見当たらない。仕方がないので国道に出て、雨宿りできる所を探して見ることにした。
土手道から国道に出ると、目の前に屋根のひさしが大きく出て雨を防いでいる電気店を発見した。しかも、この日は休業日と見えて電気が消えている。
早速このひさしの下に入り、雨をやり過ごすことにした。それにしてもいまいましい雨である。何も昨日までピーカン天気だったのに今日に限って雨じゃなくてもいいじゃないか。しかも、天気予報まではずしやがって、雨具を持って来ていない俺にとってはいまいましいとしか言いようがない。
もしもこのまま、明日まで雨が降り続けばテントでキャンプなんて、苦痛でしか無くなってしまう。
ため息をつきながらアスファルトに腰をおろして空を見ていると、軽自動車が近くに止まり、中から女性の人がこちらを伺いながら降りてきた。
この女性は、荷物を満載した自転車の横で、うらめしそうに空を見上げている男を不審者だとは思わなかったらしい、額面通り「雨宿りをしているツーリスト」と言う風に受け取ったのだろう。気にもとめずに店の中へ入っていった。ホッとしたけど、何だかつまらん。

しばらくすると雨が上がった。荷物満載のランちゃんに再びまたがり、恐怖の上り坂に挑む。
今日は風呂に入らない予定だから、汗をかかずに登らなければならない・・・・・って、出来るわけがない。すぐに汗まみれになって、湖にフリチンではいる覚悟を決めざるをえなくなった。
冒頭で風呂に入らなくても平気と書いたが、風呂嫌いというわけじゃない。毎日入るし、皆生温泉にあるサウナで垢すりしてもらうのが最高の楽しみなのだ。しかし、アウトドアとなると話は違う。荒野に生きるアウトローは、風呂などという軟弱なものに入らないのが定番なのだ。
荒野の男、さすらいのアウトローはちまんタローは無精ひげがよく似合う精悍な顔で二ヒルに笑った。

さあ、いよいよ今夜はテントで就寝だ。男はちまんタロー、さすらいの風来坊よどこへ行く !

いよいよ緑水湖に到着です。後編をこうご期待。