お名前 : ウツボカズラ   フロスティッドグラス

■2003年にリリースされた音楽で良かったものベスト10を挙げてください。
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・デートコースペンタゴンロイヤルガーデン / 構造と力
・スパンクハッピー / ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ

今年は、ほとんど新譜を聴かない年でした。
スケッチショウの『トロニカ』という作品を今年最初に買いました。 確か、2月でした。





■2003年にリリースされた作品以外で、よく聴いた音楽があれば挙げてください。
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・クアルテート・エン・シー / Quarteto Em Cy(邦題:ペドロ・ぺドロイロ)
・クアルテート・エン・シー / Gonzaguinha, Caetano, Ivan, Milton(邦題:砂の岬)
・服部良一 / 東京の屋根の下 1948-1954(2枚組コンピ) (写真)
・カーペンターズ / CARPENTERS(ファースト)
・マイルズ・デイヴィス / LIVE-EVIL
・エリス・レジーナ / In London
・マグマ / UDU WUDU
・ホーギー・カーマイケル / Stardust Road
・イエス / 海洋地形学の物語
・モーニング娘。 / セカンドモーニング
・ビートルズ / The Beatles(ホワイトアルバム)
・ポリス / The Police Live
・スガ シカオ / SMILE
・ローランド・カーク / Blacknuss
・カルメン・マキ&OZ(ファースト)
・太田裕美 / こけてぃっしゅ

今年は、旧譜中心の年でした。ひとえに、金銭的な理由から、といってeです。





■ライブ、DJイベント等々のベスト10を挙げてください。

2003/3/11 スパンクハッピー@渋谷オン・エア・ウェスト
2003/7/15 大友良英ニュージャズクインテット@新宿ピットイン
2003/11/27 SAKEROCK@高円寺円盤

今年は昨年(25本)に比べて、ライブに行った回数も格段に減りました。
7月のONJQはすばらしかった。これは、本当に、良かったですね。
ライブレコーディングしていたってこともあるんだろうけど。





■音楽以外でのベスト10があれば挙げてください。

今年読んだ本のベスト10
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01. 内田樹 / 寝ながら学べる構造主義(文春新書)
現代思想ってのは何だかおっかなくてなるべく近づかないようにしていたのだけど、
難しいりろんを、ある程度分かりやすくトランスファーするのが、知性だな、と。
そんなKANJIでありまして、この本にインスパイアされて卒論が書けたという部分は大きいです。
本を読むよろこびを久々に味わいました。


02. エドワード・W・サイード / オリエンタリズム(邦訳、上巻、平凡社ライブラリー)

ミシェル・フーコーというひとがいて、彼はまあ、凡夫を小ばかにしたような難しい本を
書いたひとなのですが、まあ、そのひとの影響を大きく受けたパレスチナ出身の米国在住
思想家の本で、もう有名な本で、しかしこれまた難しく。
ユングの言うシャドウみたいなものを欧米は、オリエント(この場合のオリエントは小アジア、
いわゆる中東あたりを想像してほしいです・東南アジアや極東アジアは含まれていない)に投影して、
つまりヨーロッパの合わせ鏡としての「オリエント」である、ということを指摘してるんですが、
第1章しか読めませんでした。
サイードは2003年9月25日に、白血病で亡くなっています。67歳。合掌。


03. 岩井克人 / 貨幣論(筑摩書房)

柄谷行人というひとが、86年頃に『探求T』という本を書いていて、そのなかで、
マルクスのおもしろさ、ってことを書いているのだけれども、ぼくが個人的にこの本『貨幣論』の中で
興味深かったのは、マルクスの価値概念、価値体系への理解というようなものが、
ソシュールという言語学者に大きな影響を与えているということで、この本も難しくて
第3章までしか読んでいませんが、貨幣ってのは要はみんながそれを貨幣だと信じている
以上貨幣であって、貨幣の価値より貨幣制という価値体系が先んじる、みたいなことを
マルクスは言っていると(これは岩井の解説ですが)。で、その貨幣ってところを「言語」に置き換えると、
あーらふしぎソシュール理論の基本概念ってKANJIになるわけです。
経済学と言語学が繋がった瞬間であって、夏に読んでいたのですけど、とても興奮しました。


04. 柳父章 / 翻訳語成立事情(岩波新書)

日本は開国&明治以降「がんばろう近代化(西欧化)」ということで、がんばったわけだけれども、
西洋の仕組みをいろいろ輸入したようです。たとえば、音楽にかんしてもそうなわけで、
あらゆる制度を向うから持ってきて、日本にあるものとミクスチャーしてみた。
というか、結果的にミクスチャーになったのでしょうが、輸入のプロセスというのは、
社会思想にしろ、官僚機構にしろ、法律にしろ、文学にしろ、すべて言語の「翻訳」という飽くなき障壁があったわけです。
そういった人間のいろいろにかかわる語の「翻訳」と意義の変遷、ということについて分かりやすく
書いてある、という点で、目からうろこが落ち、西武線に乗りながら、ぼくは震えて読みました。
この頃は、卒論のためにいろいろ本を読んでいましたが、この本もとても力強いグルーヴに溢れています。
地味で力強い本、っていいですね。


05. 丸山圭三郎 / 言葉・狂気・エロス(講談社現代新書)

丸山圭三郎というひとは、日本のソシュール研究の第一人者のかたのようですが
(浅学無知なんですが、まあ、そんなKANJIの認識)、この新書を読むと、実に、幅広くものごとについて知っておられて、
ただただ平伏という感じですが。
彼の「言葉」の定義というのは面白くて、人間がimpressedされてexpressするものは、
すべて「言葉」であるというような、広義でコミュニケーションするなかだちを、
すべて「言葉」で括ってしまうような大胆さがあります。
つまり、音楽も絵画も舞踏も「言葉」であると。そして筆者が「言葉」に深い興味をもつがゆえに逆にひとは、
言葉で人間が表現し得ない何かというものを見やるべきだし、
言語至上主義っちゅうのも危ないモンなんだよ、と忠告する本です。
丸山は『ソシュールの思想』ではかっこつけて書いてますが、こういう読みやすい文章も同時に書けちゃうんだな、
インテリってこういうのを言うんだろうな、と思います。
妙に偉ぶったところがないのがいいですね。それがポーズだとしても、そういうポーズをとることは大事だろうと。


06. 丸山圭三郎 / ソシュールの思想(岩波書店)

とても平易な(いや比較的、というべきか)ことばでソシュールという早熟の天才のエピソードや彼の打ちたてた理論、
また弟子によって彼の死後出版された講義録の誤謬を詳述しているよい本ですが、いかんせん小生頭が足りないため、
134ページまで読んで、その後うっちゃってしまいました。
ソシュールの家系は、学者をぞろぞろ輩出していて、バッハの家系のことを思い出したりしましたが、
えてしてこういう家系には天才と狂人といった具合にふしぎに基地外が多く生まれたりするのですが、
そういった品の無いゴシップは書かれていなかったように思います
(ていうかソシュールの家系に狂人が多かったという事実はないと思うんですが・バッハの家系は狂人が多かったらしい)。


07. 高橋源一郎 / 日本文学盛衰史(講談社)

高橋源一郎という作家を、ぼくはあんまり読んでこなかったのだけれど、なんというか、
凄いですね。凄いですね、という形容はあまりにバカらしいけれども、石川啄木が
伝言ダイヤルしたり、田山花袋がAV監督をしたりという、なんか、その、文学を見通すというのか、
人間のサムシング普遍性を覗こうとするそういった、活力。そういうものを感じた一冊でありました。
分厚い本ですが、枕にする暇もありませんでした。この本は今年読んだ小説の中で、いちばんおもしろかったかな。


08. 養老孟司 / 身体の文学史(新潮文庫)

ぼくは高校2年のときに、『唯脳論』を読んで以来、養老先生のファンなのですけれども、
たとえば、こういった文章にしびれるわけです。「私はいつも、歴史がなぜ可能か、という
疑問を持ち続けて来た。ただいま現在のことすら、理解がおぼつかない。
しかるに、そのおぼつかない現在が、過去に変わると、ものごとがあんがい明確になるらしい。
そこがどうも、いま一つ、納得がいかない。死んだ人間は、文句を言わない。
それが歴史を可能にする要件かと思ったこともある。」(p.9)
また読み返したい一冊です。時間があれば。


09. 養老孟司 / バカの壁(新潮新書)

これは発売されてわりと間もなく本屋で買いましたが、衝動買いに近くて、なぜ買ったかというと、
語り下ろしという体裁ですね。これは、いいな、と思った。よい編集者が養老先生にはついているんだな、
と思ったら、あれよあれよという間に200万部突破してしまって、おやおや、というKANJIです。
人生というのは己が内の「バカの壁」とのタタカイであり、かつまた他が内の「バカの壁」との
タタカイであるという、実にまっとうなことを述べている本です。おおまかにいって。
200万部読まれるというのは、いろんな意味を持つわけですよね。印税が凄いとか、買われても
読まれないとか、ブックオフでそのうち安く買えるようになるとかね。ぼくはベストセラーを
差別する気はないんですが、これほど売れるというのは何事か、と驚いています。
やっぱり「読みやすい」ということは本にとって大事なんだな。


10.竹岡俊樹 / 「オウム真理教」完全解読(勉誠出版)

竹岡さんという方は、考古学者で、1次資料(っていうのかな)を大事にして、オウムの研究本を出された。
で、参考文献を眺めると、おもしろいのですが、巻末にオウムが出版した本がずらっと並んでいるという。
ここまで、彼らの出した出版物に注目して、地道に読み解いた人間もいないであろう、というところで、
氏の文筆にたいする真摯さ、己の方法論に対する誇りや確信というものを感じずにはいられないといったKANJI。
オウムの問題については、今後も個人的に興味を持ち続けるだろうな、という気がしています。
リメンバー・地下鉄サリン、という気持ちはすごくあるのです。もう8年も前の出来事だけれども。


■自己紹介をどうぞ。

1980年9月17日生まれ、23歳。2004年3月、都内某私立大学文学部卒業見込み。
14歳のとき、YMOと邂逅し、以後、音楽を通じて近現代の藝術全般に興味を深め、
「浅く広く」をモットーにしたりしなかったりしつつ、耽溺人生。好きなジャンルは、
ジャズ、ファンク、ミニマル、バロック。反復を基調としたリズム重視の官能的な音楽であればだいたい好きです。
メロディーもハーモニーも好きです。


■今年はどんな年でしたか?

卒論や暦は師走になりにけり。って感じの一年でした。