子犬のしつけ
〜動物愛護団体「いぬ・ねこネットワーク秋田」作成資料より〜
 犬の性格というものは、子犬の時の生活の影響がかなりあります。どんな状況で生まれ、どんな生活をし、人間とどのように子犬の頃関わってきたのかで、人間に対する態度が決定付けられてきます。

 私が理想とする子犬のしけつの始まりは、胎児の頃、もしくは出産直後、この世に姿を見せたその瞬間からはじめることです。そのためには、母犬のしつけがなっていなければ不可能でしょう。まず、母犬の妊娠期間中、多くの人に接触させ、タッチングしてもらうのです。人との絆を築きやすい性格作りを胎児の頃から始めていくのです。言わば、「しつけは胎教から」。この言葉を私は犬についてを一から教えていただいた、訓練士の大先輩である藤井聡先生から学びました。

そして、出産後直ちに母犬の目の前で新生児をもち、多くの人に触ってもらうのです。このとき母犬は静かに静止していなくてはなりません。一般愛犬家の方々は、産後は子犬を守ろうとして警戒心が強くなるから、子犬に近づこうとするのはやめたほうがいいと思われている方が多いと思いますが、しつけの入った母犬ならば、子犬に近づくのはもちろん、抱き上げて可愛がってあげることも普通に行えるでしょう。

そして、産後間もないころから、子犬の全身を色んな人に触ってもらい、育っていった子犬は、愛犬家の家庭でしつけも施しやすい誰からも愛される犬となるでしょう。

 もし、飼い主さんのお宅に、何週間の子犬でも何ヶ月の子犬でも新しい家族として仲間入りしたときには、ホールドスチールと同じ要領でも、飼い主さんなりのやり方でも何でもかまいません。全身のどこを触っても嫌がらないように、色んな人に触ってもらってください

 そこで問題になってくるのが、子犬のあまがみです。これは多くの愛犬家が歯が生え変わるから、かゆいから噛むのだと、間違った考えをお持ちです。これはありえません。どんなに愛らしい子犬でも、体の中には祖先のオオカミからきた本能と習性が入っています。

犬は、子犬の頃から自分の優劣を見分けるため、支配的行動を行っています。それが
あまがみです。子犬同士の噛み合いは、優劣をつけさせるため見守っていてもかまわないでしょう。見ていてとても愛らしいものです。しかし、人間に対するものは必ずやめさせる必要があります。もしやめさせなければ、成長し、成犬になって、するどい犬歯で噛んでくることになります。

もし飼い主さんに対してあまがみをしたら、ひっくりかえしてマズルをつかんで、しばらくその体勢にしておいてください。子犬はひゅんひゅんと悲しそうな声でなくでしょう。可愛そうという気持ちをおさえて、これを繰り返してください。これは成犬が人に歯をあてたときも同じ対応をします。人間に対するあまがみは徐々になくなり、従順な犬に成長すると思われます。この
タッチングあまがみの矯正を家庭の中で続けてください。

 犬の生後1ヶ月から3ヶ月ぐらいまでを社会化期といいます。この頃が犬にとって最も環境に興味を持つ期間であり、社会環境に最も順応しやすい期間であります。

 この期間、多くの愛犬家の方々は、あまり外部との接触がないほうが病気予防のためと考えられてると思います。しかし、この一番順応性に富んだ期間を見逃してはならないのです。この期間、たくさんの人や犬、物、音に順応させるため色々な場所に連れて行くのが犬の性格作りのためにも良いと考えております。人のたくさん集まる場所などに連れていって、たくさんの他人に触ってもらい、誰からも愛される性格作りをしましょう
 
 そして、子犬時に身につけておきたいのは、ハウス飼いと、排泄のしつけです。人は大きな家、、立派な邸宅を持ちたい、広い部屋に住みたい、と誰もが思うでしょう。そして犬にも、と擬人化した考えになってしまいます。擬人化してよいこともありますが、ハウスに関しては擬人化した考えは決してよくありません。

犬の祖先のオオカミは横穴を巣とし、その穴蔵で生まれ育ちます。犬にも寝るだけのスペースの囲まれた安らげる場所、ハウスを提供してあげてください。そして必ず、ドアの付いた物で、寝るとき、家族が出かけているときだけでも結構ですので、ハウスにしまう習慣をつけていただきたいのです。

もし愛犬がケガをして入院するとき、飼い主さんが旅行でペットホテルに預けるとき、うちの犬は部屋で放し飼いだから放しておいてください、とは言えないのです。子犬のときからハウスに入る習慣をつけた犬たちは、閉じ込められたと感じず、ストレスになりません。しかし放し飼いをしてきた犬たちがいきなり閉じ込められたとしたら、それは強いストレスを感じます。

 最初にハウスを教えるとき、えさをハウスに放り込んで、犬がつられて中に入った瞬間、バタンとドアを閉めて「ああ、入った」、これでは犬はだまされたと感じ、不快感を覚えるでしょう。この方法では犬に嫌な印象を残すだけになります。犬がえさにつられてハウスに入ったら、必ず回転して出て来ようとしますから、その瞬間今度は入り口にえさを放り込み、これを何回か繰り返します。そしてドアが開いていても黙ってハウスに入っていたら、ここで初めてドアを閉めればいいのです。

 こうやってハウスにはいる習慣を身につけた犬ならば、家族の留守中に分離不安
からくる破壊行動や咆哮、排泄もさけられるでしょう。
  
 次に排泄についてです。「犬は飼いたいけど飼わない」と言う方がたまにいらっしゃいます。なぜかと尋ねると、「朝夕の散歩が大変でしょう」とおっしゃいます。犬を飼うイコール毎日散歩をしなくてはならない。とお考えの方が多いのですが、私は排泄と散歩を別に考えております。排泄の習慣というものは、成犬になってからでは変えにくいのが正直なところです。

子犬の頃から排泄と散歩を別にしていれば、飼い主さんにとってこんな楽なことはありません。雨の日、雪の日、台風の日、もしくは飼い主さんが病気の日、こんな日は散歩なんて行かないで、家でゆつくりすることが可能になります。

 最初に、排泄するスペースを作ってあげます。サークルなどを購入するのもいいですし、リードをつけて家の敷地内でさせるのもいいでしょう。そこで排尿排泄をするまでは、犬をそこから出さないでください。犬はウロウロと歩き回って、いつかは排泄を行います。その排泄を行った瞬間に、犬を驚かさないようにゆっくり誉めてあげてください。
そのとき、排泄を意味する言葉を一緒に教えてあげてください。例えば排泄を意味する言葉を「排便」と言って教えると、車で犬を連れて旅行に出たときなど、排泄するスペース以外でも「ここで排泄しても良いんだ」と犬が理解し、犬が泊まれるホテルなどにいっても困りません。

 そして、そのスペースで排尿・排便を終えたなら、散歩に行けばいいでしょう。散歩は天気が良い日でも、飼い主さんの気が向いたときでも、不定期につれて行けば良いと思います。

犬はすばらしい時間感覚の持ち主です。散歩の時間を決めて毎日毎連れて行くと、すぐに時間を覚え、「散歩に連れて行け」と騒ぎはじめます。不定期につれて行けば、犬はいつ散歩に連れていってもらえるかわからないので、世話要求行動を発生しないようになります。

 いつ散歩に行けるかわからない状態にしておき、トイレと散歩は別に済ませておいた上で、犬のために散歩に行くのではなく、自分の健康のために行くのだ、「犬は付録で付いてきなさい」と、このような気持ちで歩かれると、犬にとってはすばらしく頼り甲斐のあるリーダーとして、主従の関係も築かれていくのです。

 ハウスに入れる習慣、排泄のしつけは、子犬のころに教育するのが望ましいことです。人間社会で犬と共生していくために、犬に基本的なしつけをするのは飼い主のモラルです。子犬の頃から正しいしつけを行って、誰からも愛されるような愛犬にしたいものです。